抄録
警察・刑事司法分野におけるデータ保護について規律している刑事司法指令(以下、LEDとする) は、EU域外の第三国・領域・国際機関への越境移転について十分性認定の枠組み(LED35条)がある。2021年に初めてイギリスに対するLED十分性認定手続が開始され、今後日本についても議論が始まる可能性がある。
本稿は、刑事司法指令とEU加盟国法との関係について概観したうえで、一例としてドイツにおける国内法制との関係を説明し、特に監督機関の権限について詳述する。なぜなら、「本質的に同等」(essentially equivalent)の水準がどの程度であるのかについて、LEDの加盟国法における実現を見る必要があるからである。そのうえで、越境移転の要件を確認し、これまでLED十分性認定の不在についての批判を紹介し、欧州データ保護会議(EDPB)勧告(2021/01勧告)の内容を確認する。以上の分析から、最後に、日本における対応が必要かどうかについてコメントする。