抄録
アジアの経済成長に伴い、食肉消費が増大しているが、本論文は先進国、中進及び途上国を含めアジアにおける食肉の生産流通の現状と将来について分析考察したものである。本論文の目的は、食糧消費、とりわけ、食肉消化がどう伸びるか、また家畜頭数や食肉供給の現状と展望を明らかにすることである。そのため、各国にA4判53頁にわたる調査票を配布し、1970-1993年のデータを蒐集した。また、現状での所得の需要弾力性分析により2000年における食肉需給の展望を試みた。食糧供給は経済成長の進展と共に改善され、食糧不足は低成長諸国でみられる。家畜頭数は顕著に増大しているが、世界の他の地域に比べて食肉供給は飼養頭数に比べて少ない。このことは今後の実質的供給をどう行うかに懸っている。もし、現状で2000年まで推移するとすれば、多くの国で食肉輸入をしなければならなくなるだろう。これは1人当たり所得と消費の強い相関がみられるからである。とはいえ、食肉消費量は各国の所得水準、食肉嗜好、生産条件に依存するばかりでなく文化的、宗教的要因を強く影響を受けている。