海洋理工学会誌
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原著
マイクロ波散乱計で観測された海上風の風向分布の指向性とモデル関数の誤差との関係について
江淵 直人
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1999 年 5 巻 p. 19-

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抄録

衛星搭載マイクロ波散乱計によって観測された海上風ベクトルの風向分布の指向性とモデル関数の誤差 の関係を単純なモデルを用いて調べた。モデルでは,散乱計の周波数,偏波,ビームの方位角・入射角の 組み合わせを固定した上で,仮定した真のモデル関数を用いて,ある風速・風向において散乱計が観測す ると想定される散乱断面額の組を計算した。次にこの散乱断面領の組から,既知の誤差を含むモデル関数 を用いて,風速ベクトルを計算した。この計算を風向を変えて順次行うことにより,風速.風向の誤差を 方位角の関数として求めることができ,また,風向分布の指向性を再現することができる。このモデルを NASA散乱計(NSCAT)の初期データ(SASS-2モデル関数使用)に適用した。その結果,NSCATの初期 データに見られた風向分布の指向性は,モデル関数SASS-2の誤差によるものであることが示された。

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