看護教育研究学会誌
Online ISSN : 2760-3377
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看護学生の臨床判断能力の育成につながる教育を考える
奥 裕美
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 17 巻 2 号 p. 41-47

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抄録
医療をめぐる環境の多様化・複雑化が進む現代において、看護師には状況に応じて柔軟に判断し、行動する臨床判断能力が求められる。しかし、看護基礎教育で学んだ知識と臨床で必要とされる能力には依然として乖離が存在し、社会のニーズに応える教育のあり方が問われている。本稿では、Tanner(2006)の臨床判断モデルとBennerら(2009)の提言「ナースを育てる」を基盤に、看護学生の臨床判断能力育成につながる教育のありかたを検討する。特に展開する事例(Unfolding Case)は、患者の文脈や価値観を踏まえた思考過程を追体験できる点から、臨床的想像力の育成に寄与する教育方法の一つとして挙げられる。その実践にあたっては、事例の選択や臨床との接続を図りつつ、根拠に基づく実践のリアルを示す教員の力量が不可欠である。そのような教育のためには、まず教員自身が看護実践と教育を往還しながら学び続けることが基盤となり、それを持続可能とする体制整備が求められる。臨床判断能力育成に向けた教育実践の深化は、学生、教育者、そしてなによりケアを受ける人々にとって重要な意義をもつ。
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© 2025 看護教育研究学会
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