2024 年 85 巻 12 号 p. 1676-1680
症例は81歳の男性で,胃体部癌cStage Iに対し開腹で胃切除術(D1+郭清,Billroth II再建)を行った.術後9日目の採血で炎症反応の上昇,単純CTで吻合部周囲の腹腔内膿瘍を認めた.縫合不全の診断で絶食・抗菌薬管理を開始したが,術後12日目の造影CTで膿瘍の増大と短胃動脈領域の仮性動脈瘤を認め,緊急TAEの方針とした.待機中に血圧低下,貧血の進行を認め,再度の造影CTで胃内に凝血塊と考えられる新規の高吸収域を認めた.血管造影検査で短胃動脈の末梢血管に動脈瘤を認め,漏出した造影剤が吻合部を経由して残胃内に流入することが確認された.コイル塞栓によるTAEを施行し止血を得た.翌日の造影CTで止血と胃壁の血流維持を確認後,遺残膿瘍に対しCTガイド下ドレナージを施行した.経過は良好で術後35日目に退院となった.胃切除後の腹部仮性動脈瘤破裂による出血はまれな病態だが,重篤な転帰をたどる.出血源の推定と適切な止血法を選択することの重要性が示唆された.