2022 年 59 巻 3 号 p. 327-334
45歳以上55歳未満の更年期女性126名を漢方医学的診断で実証・虚証の2群と,中間証を加えた3群の2通りに分け,エルゴメーター運動負荷を用いた心拍変動(HRV)を測定し比較検討した.体重,BMIの2項目で実証群が他の群より有意に高く,クッパーマン更年期指数,気血水6項目全て虚証群が有意に高い値を示し,CMI健康調査票では身体12項目中5項目で虚証群が実証群より有意に高かった.HRVの変化では,安静時,運動最大負荷時,負荷終了後でHR,Nnmsec,CVRR,SDNN,rMSSD,VLF,LF,HF,LF/HF比いずれの時点も2群間の有意差を認めず,3群比較において負荷終了後のCVRR,SDNNで虚証群が他の2群より低値の傾向を示した.従って,虚証の更年期女性では強い負荷に対する自律神経回復力の低下が示唆された.