2025 年 62 巻 1 号 p. 7-10
圧受容器反射は,姿勢の変化や運動など日常の様々な動作やストレスにより変化する短期の血圧変動を緩衝し,一定の値を維持するように調節する負のフィードバック機構である.多系統萎縮症やParkinson病,純粋型自律神経不全症(PAF)では圧受容器期反射感受性(BRS)の低下が,さらにPAFにおける起立性低血圧の程度とBRSの低下には相関がみられることが報告されている.一方,代表的な起立不耐症の一つである体位性頻脈症候群(POTS)では,これまでの研究では必ずしも一致した見解をみていない.POTSの発生機序は,まだ十分には解明されておらず,複数の機序が症例ごとにオーバーラップすると考えられている.本稿では,POTS患者における圧受容器反射感受性の意義について,最新の知見を交えて概説する.