近年,げっ歯類を用いた研究により中枢神経系による大腸運動・排便制御機構の解明が進められてきた.その結果,脊髄排便中枢が骨盤神経を介して遠位結腸・直腸運動を制御すること,その機能が複数のモノアミンやペプチドによって調節されることを明らかとなってきた.特に,視床下部-延髄縫線核-脊髄排便中枢を介する下行性神経回路が急性の心理的ストレス時に誘発される排便に関与することが明らかとなったことは重要である.これらの知見は,腸脳相関という概念を具象化するのみならず,ストレス関連排便異常のメカニズムを理解ために有用である.本稿では,大腸運動・排便に対する階層的制御機構と,心理的ストレス時の排便制御に関わる中枢性神経回路について,私たちの最新の知見を含めてまとめる.