The Journal of Antibiotics, Series B
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抗生物質Colistinの検討
木林 由勝
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1957 年 10 巻 6 号 p. 255-259

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抄録

Colistinは1946年にライオン菌薬研究所で, 福島県下の土壌から分離した好気性胞子形成性桿菌 (Bacillus colistinus) から小山等1) が抽出した抗菌性物質である。Colistinは栗原等2) によれば, l-α, γジアミノ酪酸, l-スレオニン, α-ロイシンを構成アミノ酸とするポリペプタイドである。現在, Colistinの発見からすでに10年を経ているが, その創製期は抗生物質の輸入利用に奔走した頃であり, Colistinも利用面では多く実験された反面, その基礎的研究は必ずしも満足ではなかつたと思われる。
Colistinの作用機序については, なお明らかでなく, その作用に関連する諸因子との関係も未知なものがある。著者は1955年来, Colistinに対する関連因子の影響を知るために, 熱, 酸, 消化酵素, 胆汁, 糞便, 金属イオン等がColistinの作用にどのような影響を及ぼすかについて検討し, そのほかにも若干の知見を得たので報告する。
Colistinは八洲化学, Colimycin (colistinと同一抗生物質) はライオン菌薬研究所, 粉末胆汁は日本栄養化学, 強力ペプシンおよびパンクレアチンは, みくに化学より提供された。

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