The Journal of Antibiotics, Series B
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産婦人科領域におけるPyrrolidinomethyl-tetracyclineの使用経験
真柄 正直高瀬 善次郎
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1959 年 12 巻 2 号 p. 71-73

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抄録

産婦人科領域における感染症, すなわち産褥熱や子宮癌の場合における術前術後の感染症, および子宮付属器炎等について, 我々は以前から嫌気性菌を指標として, 諸種の抗生物質の実験的ならびに臨床的効果について, 種々検討して来たのであるが, その結果によると, StreptomycinやPolymyxin B等を除く他の抗生物質に対して, 一般に嫌気性菌は高い感受性をもち, 中でもTetracycline系 (以下, TC系) 抗生物質の効果は顕著であつた。更に近時, 多くは子宮癌手術後の患者についてであるが, 抗生物質を使用した後に, 大腸菌群を主な原因菌とする腎盂膀胱炎の発現率が以前に比較して多い事実は明らかな菌交代現象とは断定し難いとしても, 興味ある問題として注目されている。
今回, 我々は日本抗生物質学術協議会からPyrrolidinomethyl-tetracycline (以下, PRM-TC) の提供をうけ, これを産婦人科領域における感染症の治療および予防に使用したので, その成績について報告する。
PRM-TCは, Hoechst社において部分合成的な方法でつくられたTC系抗生物質で, その抗菌スペクトラムは従来のTC系抗生物質と同様であり, 従来のTC系抗生物質の静注用のものに較べて, 次のような特長があるといわれている。
1) 注入箇所の静脈刺激, 血栓形成等がなく, 高濃度の溶解液を静脈内に投与できる。
2) 血中濃度が非常に高い。
3) 腸内排出が僅かである。
4) 尿中濃度が高く, 持続も長い。

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