The Journal of Antibiotics, Series B
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静注用ピロリジノメチルーテトラサイクリンの血中および体液中濃度とその外科疾患への臨床使用成績
柴田 清人由良 二郎石崎 峯子
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1959 年 12 巻 2 号 p. 79-82

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抄録

近時Broad spectrum antibioticsが次々と発見されて, 化学療法の進歩はめざましいものがある。その反面これら抗生剤に対する耐性菌の出現も漸く治療上の障害となり, 臨床医家を困惑させている。抗生剤投与にあたつては, より高い血中濃度を得ることによつて, 急性ならびに各種慢性炎症巣内へ充分な抗生剤を到達させ, いわゆるTherapia magna sterilisansを目標として種々努力されている。しかし, 従来の非経口投与抗生剤はいずれも排泄が早く, 速やかに血中から消失する欠点があつた。今回, 日本抗生物質学術協議会から提供されたPyrrolidinomethyl-tetracycline (PRM-TC)(Reverine ‘Hoechst’) は, 1日1回静脈内投与のみで充分な血中濃度が得られるといわれている。PRM-TCはTetracycline系の新抗生剤で, 従来のTetracycline製剤に較べpHが高く, 局所刺戟作用が少く, そのため静脈内投与時の血管痛, または血栓形成等の副作用がほとんどみとめられない。吾々は, 各種外科的感染症に本薬剤を使用する機会を得たので, その成績の概略を述べ, 同時に血中, 尿中, 膿汁中およびリンパ液中移行量を測定し, 更に家兎における各種投与方法による血中濃度の消長および肝機能に及ぼす影響等について検討したので, 簡単に報告する。

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