1962 年 15 巻 1 号 p. 1-6
カナマイシン (以下, KM) は, 我が国において1957年梅沢博士ら1) によつて発見された抗生物質であり, 結核菌を始めとして, 多くの細菌類に対して抗菌スペクトルをもつていることが知られている。その臨床的応用も数年来著るしく広まり, 筋内注射および内服用諸製剤が普及して来た。
しかし, KMの生体内における種種の態度について, 主として臓器内濃度, 不活化等の面から検討した論文は, 従来あまりみられていない。私達はここに, これらに関していささか検討したので報告し, 私達が報告して来た細菌性赤痢に対するKM経口投与時を中心とした糞便中濃度について述べる。