The Journal of Antibiotics, Series B
Online ISSN : 2186-5469
Print ISSN : 0447-8991
ISSN-L : 0447-8991
Kanamycinの検定に及ぼす金属塩の影響
若沢 正安部 政弘
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 15 巻 5 号 p. 277-281

詳細
抄録

多くの抗生物質の抗菌力は, 培地の種類, 塩濃度, 金属イオンの存在等によつて影響をうける。PenicillinやStreptomycinに対する培地組成や, 塩類の影響については, 生産管理上または薬理学的研究の必要上, よく検討されている。Kanamycinの各種試料をカップ検定する場合にも, 不明の原因のために, 検定値が変動することがある。GOUREVITCH等1) は, 培地中のphosphateやchlorideの存在はE. coliに対するKanamycinの作用を弱め, 合成培地中では窒素源の存在するほうが菌はKanamycinに敏感であることを観察している。MORIKUBO等2) は人血, 人乳等はKanamycinの殺菌作用にはなんら影響を与えないが, 牛乳は殺菌作用を50%減少させ, 卵黄には特にこの作用が著明であることを報告した。卵黄中の妨害因子はphosphoproteinであり, Kanamycinはこの物質にイオン交換的に吸着されるものと考えた。同氏等3) はまた, 兎の脳がE. coliに対するKanamycinの静菌作用を低下させることを報告している。抗生物質の力価に及ぼす金属イオンの影響については, WEINBERG4, 5) が詳細に報告している。COHEN等6) は, Bacitracinについて, 培地組成と抗菌力の関係について興味ある事実を述べている。
著者等はKanamycinのカップ検定法に及ぼす各種金属塩の影響をペーパーディスク法で検討し, 検定値に及ぼすステンレスカップの誤差要因を推定した。

著者関連情報
© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
次の記事
feedback
Top