1962 年 15 巻 5 号 p. 290-293
本論文の要旨は昭和36年11月名古屋における第9回日本化学療法学会中日本支部総会において発表した。
前報においてわれわれは, 地衣類の1種バンダイノキノリからプソローム酸という地衣成分を抽出し, その動物腫瘍に対する著明な抗腫瘍作用をみとめることができたが, さらにこの近縁地衣成分をスクリーニングした結果, 化学的に同様な芳香族地衣成分であるデプシドーンに属するコラトール酸がプソローム酸に匹敵する抗腫瘍作用を示すことをみつけることがでぎた。このコラトール酸は, 地衣の1種トコブシゴケから抽出され, α-, β-の異性体があるが, この両者についてプソローム酸におけると同様の研究をおこない, 2, 3の知見が得られたのでここに報告する。