The Journal of Antibiotics, Series B
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各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 第3報
マウスでブドウ球菌を用いた実験
須山 忠和小黒 義五郎土居 卓治
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1965 年 18 巻 1 号 p. 21-26

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抄録
すでに我々は, 細菌感染症, 特に肺炎球菌およびゲルトネル肺炎菌によるマウスの実験的感染症に対して, ガンで・グロブリンと各種化学療法剤 (主として抗生物質) との併用による治療実験をおこない1, 2), FISHERを始めとする多くの先人の報告3, 4, 5, 6, 7) のように, クロランフェニコールとガンマ・グロブリンの併用が単独治療の場合にはみられない協同的作用によつて相乗治療効果をあらわすことを明らかにした。
さらに, 我々の詳細な実験によれば, ガンマ・グロブリンとクロランプエニコールとの併用のみならず, 肺炎球菌に対してはテトラサイクリン, オキシテトラサイクリンおよびカナマイシン等が, ゲルトネル腸炎菌に対しては複合ストレプトマイシン等がそれぞれガンマ・グロブリンとの併用によつて相乗治療効果をあげ得る知見を得た。すなわち, クロランプエニコールは肺炎球菌, ゲルトネル腸炎菌両者に対して, ガンマ・グロブリンとの併用により著るしい相乗的治療効果をあげ得るが, テトラサイクリン, オキシテトラサイクリン, ストレプトマイシンおよびカナマイシンは両者に対しそれぞれ単独投与によつても, よく治療効果を示すにもかかわらず, ガンマ・グロブリンとの併用による効果は明らかに様相を異にしている。
以上のように, 各種感染症に対するガンマ・グロブリンと化学療法剤との併用は, より著効を期待するためには, 感染菌の種類によつてガンマ・グロブリンとの組合わせの撰択が望まれることはすでに前報において述べたが, 本報では, ブドウ球菌について実験した結果を述べる。
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