抄録
代表的な腹部のう胞性疾患4例(先天性孤立性肝のう胞, 肝血腫, 腸間膜のう腫, 先天性水腎症各1例)を対象に超音波誘導下穿刺を施行しその有用性について検討した. 全例に穿刺後, 内容液の吸引と造影剤の注入を行い細かい病変の描出に努めた. その結果, これら疾患の質的診断, 病変の伸展範囲及び周辺臓器との位置関係などをより正確に把握することができた. また吸引液の塗沫, 培養や細胞診などを行うことによつて更に診断率が向上した. 本方法は従来のX線検査で診断困難とされてきた腹部のう胞性病変の的確な診断及び治療も同時に行えるなどの利点を有し, また安全性も高いことから今後広く普及する方法と思われる.