ペニシリンG, テトラサイクリン等に耐性をもつブドウ球菌に対して, 抗菌力を示す種々な化学療法剤が提供され, 各種の合成ペニシリンもこの要求をみたしている。エリスロマイシンをはじめとするマクロライド系抗生物質も, これら耐性ブ菌に有効な薬剤であり, しかも臨床上種々な有利性をもつことは, 既に私共1) の指摘したところである。
最近提出されたLincomycin (LCM) は, このマクロライド系に近い抗菌スペクトルをもつ抗生物質とされているので, 本物質の臨床的価値を確める目的で, 2, 3の基礎的実験を試み, 少数例ながら臨床にも使用したので, その結果を報告する。