1965 年 18 巻 2 号 p. 148-151
尿路感染症は, 他の感染症と異なり, 起炎菌の種類, およびその薬剤耐性分布にも特異性が強く, そのうえ起炎菌が好適な液体培地ともいうべき尿にたえず接している状態にあるため, 治療上各種薬剤の適否, 選択が重大な問題となる。われわれは, 最近, 日本Upjohn社からグラム陽性菌に強い抗菌力を示すという新抗生物質Lincomycinの提供をうけ, 本剤の血中および尿中濃度を測定すると同時に, 尿路感染症10例にこれを使用したので, その成績をする。