The Journal of Antibiotics, Series B
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合成Cephalosporin Cの臨床的研究
大越 正秋生亀 芳雄藤村 伸工藤 三郎
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1965 年 18 巻 6 号 p. 482-485

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抄録

BROTZU教授によつてはじめてCephalosporium acremoniumが分離されたが, 1955年にNEWTON, ABRAHAM らはさらにCephalosporin Cの分離に成功した。次いでそめ化学構造式も決定され, 1961年には下にしめしたように, 合成Cephalosporin CとしてCephaloridineとCephalothinとがつくられた。CephaloridineはGlaxoからCeporanと名づけられ, CephalothinはLillyからKeflinとよばれてそれぞれ製品化されている。
これらの抗生物質は, グラム陽性ならびに陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムをもつている。しかし, 一部の変形菌, あるいは緑膿菌などは感受性をしめさない。また, ペニシリナーゼによる破壊も, ペニシリンとの交叉アレルギーもないといわれている。なお, これらの物質の細菌に対する作用は殺菌的で, in vitroの抗菌力は CephaloridineのほうがCephalothinよりややすぐれているようである。
経口的投与では吸収されにくいが, 筋肉注射では血中濃度は30分でピークがみられ, その後比較的急激に濃度が低下し, 6~8時間後にはほとんど血中から消失する。また, 腎臓中濃度が高く, 尿中にも高濃度に排泄され, その回収率は注射後6時間までで50%以上である。この点からは, 尿路感染症の治療上, とくに有効な抗生物質ということができる。
毒性は, マウスに静注したばあいの, LD59は, 2.1g/kg以上であり, 皮下注射あるいは経口投与の型あいは, さらに大量を投与しても健在である。

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