1965 年 18 巻 6 号 p. 499-503
抗菌性抗生剤をもちいる化学療法の普及に伴なつて, 近年, 抗生剤耐性菌感染症がいちじるしく増加して来た。なかでも, 外科的感染症の起因菌として, もつとも多くみられる病原性ブドウ球菌 (以下, ブ菌) は, ほとんどすべてがペニシリン-G (以下, PC-G) に感受性を示さないのみならず, 同時に他の多くの抗生剤に対しても耐性を示すようになつている。ところが, さきにイタリーのLepetit社研究所で発見されたRifamycin-SV (以下, Rf-SV) は, Streptomyces mediterraneiの産生する抗菌性抗生剤Rifaniydn-Bを弱酸性溶液で処理してつくられたもので, ブ菌, 溶連菌, 肺炎球菌などのグラム陽性球菌に対して, とくに強力な抗菌作用をもち, しかも他の抗生剤との間には交叉耐性を示さないといわれている。
われわれは, Rf-SVに対する各種細菌, とくにブ菌の感受性をしらべ, さらに外科領域における各種感染症に本剤を試用したので, 現在までにまとめえた成績をここに報告する。