The Journal of Antibiotics, Series B
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テトラサイクリン・カナマイシントローチの治験ならびに抗生剤口中錠使用の臨床的意義について
池本 秀雄渡辺 一功
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1966 年 19 巻 6 号 p. 460-462

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抄録

日常‘のどの痛み’を訴える患者はかなり多い。内科領域での‘のどの痛み’は, 咽頭炎が最も多く, 通常は感冒の分症としておこり, 次いで扁桃炎が多い。このほか, 口内炎, 舌炎なども稀でない。また, ジフテリア, 伝染性単核症など急性伝染病の分症としておこるものや, 顆粒球減少症, 白血病など重症血液疾患に随伴するものもある。
これら一連の‘のどの痛み’の原因は, 細菌, 真菌, ウィルスなど微生物による感染が最も多いが, ときには刺激性ガスなどによることもある。とくに細菌は, 1次感染にしろ, ウィルス感染に続発する2次感染にしろ, その病原酌意義はきわめて大きい。しかし, ウィルスはむろんのこと, 真の病原体である細菌を決定するのはかなり困難なことである。たとえば, 数種の細菌が咽頭から分離されたとしても, はたして感染病原菌であるかどうかの決め手は容易でない。健常者の咽頭からいわゆる病原菌が検出されることも決して稀でないからである。
しかし一般的には, とくに急性扁桃炎のばあいにそうであるが, 溶連菌を筆頭に, ブドウ球菌, 肺炎球菌, インフルエンザ菌, 肺炎桿菌, それに嫌気性菌などが重視されている。そしてまた, 混合感染も多いとあつては, 口腔粘膜やリンパ装置の表層に直接作用する口中錠は, その抗菌作用がより広範囲であることが望ましいのは当然である。
今回は, テトラサイクリン (TC) とカナマイシン (KM) を含有したカナサイクリン・トローチの治験の機会を得たので成績を報告する。

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