The Journal of Antibiotics, Series B
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緑膿菌呼吸器系感染症に対するKasugamycinの治療効果について
弘 雍正土井 康稔
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1967 年 20 巻 2 号 p. 85-89

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抄録
Kasugamycin (以下KSMと略) は, わが国において, 梅沢等1, 2) によつて開発された抗生物質であつて, 緑膿菌感染症に対して著明な効果を発揮するが, 動物実験において副作用の少い3) ことはすでにみとめられている。ことに緑膿菌尿路感染症に対して著効を奏することは, 市川4), 高安5), 上田6), 柿崎7) 西浦8) によつて報告されている。さらに, 外科9), 内科10, 16), 耳鼻科11), 眼科2), 皮膚科13)領域における緑膿菌感染症にも, KSMが有効な抗生物質であることが, 第14回化学療法学会シンポジウムにおいて発表され, 在来困難視されていた緑膿菌感染症の治療に明るい希望をもたらしている。
一方, 北本等4)によつて, 肺結核患者では喀痰中の緑膿菌陽性率が, その他の疾患の患者より3倍以上の高率に証明されているが, われわれの療養所でも定期的に連続して喀痰および膿汁を検査して, 呼吸器系緑膿菌感染症と診定し得る患者9例を見出した。したがつて, これらの症例に対して, KSMの全身療法 (筋肉注射による投与), 局所授与, 吸入療法を実施し, 2~3の知見を得たので, ここに報告する。
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