1967 年 20 巻 5 号 p. 344-346
抗生物質のうち抗真菌性をもつものがいくつか発表されているが, 比較的最近に開発された物質として, ポリエン系のPimaricinがある。Pimaricinのカンデイダ性膣炎に対する治療効果を臨床的に検討した発表の中に, 膣トリコモナス症にも有効であつたと述べているものがいくつかみられる (CAZEMIER et al. 1959, LAMBOTTE 1960, 和田ら1965, 山田ら1966)。カンディダ性膣炎治療剤である本剤が, カンディダ症よりもより頻度が高く, しかもこれにしばしば合併しているトリコモナス膣炎にも有効であるとすれば, 臨床的にはきわめて便利な薬剤といえる。しかし, この物質の膣トリコモナスに対する殺虫効果についての基礎的実験をおこなつた発表は, LAMBOTTEのものを除いては見当らないようである。この意味において, 著者らはPimaricinの膣トリコモナスに対するin vitro殺虫効果を検討した。