The Journal of Antibiotics, Series B
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20 巻, 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 志村 秀彦
    1967 年 20 巻 5 号 p. 329-334
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 各種抗生剤の普及につれて, 感染症の病態に著るしい変化が現われつつある。特に, 胆道感染症については, 起炎菌の種類および性質が従来と著るしく変つて来ていて, 特有な所見として, 耐性菌株の出現と弱毒菌の混合感染が指摘される。
    したがつて, 胆道感染症を治療するに当つて, どのような細菌が起炎菌であるか, 炎症発作がいつから起つたか, 以前使用された抗生剤がなにか, ないかを常に念頭におく必要があろう。一般に, 胆道感染の起炎菌は, 腸内細菌であり, 胆汁鬱滞, 結石の存在, 蛔虫迷入等の原因によつて上行感染がおこるばあいが多い。しかし, 長期にわたつて発作が繰返され, その間に各種の抗生剤が使用されたばあいは, 菌交代現象の結果として起炎菌の種類はその都度変化を示し, 緑膿菌等の弱毒菌, または, 耐性をもつた大腸菌等が残るのが普通である。したがつて, 胆石症のばあい, よほど注意しないと, 無効な抗生剤が無駄に使われたり, 術後重篤な全身感染を惹起する危険もある。
    筆者は, 以上のような観点から最近, 手術時または術後得られた感染胆汁中の細菌を同定し, その抗生剤感受性について検討したので, これを報告するとともに, 今後の化学療法の参考にしたいと思う。
  • 1967 年 20 巻 5 号 p. 334-334,337
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 森田 繁二, 高野 道子, 垂水 昭夫, 後藤 幸夫, 堤 泰昭
    1967 年 20 巻 5 号 p. 335-337
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    私どもはOxytetracyclineから誘導された新らしいTetracycline系抗生剤であるMethacycline (Rondomycin ‘Pfizer’) について, 試験管内抗菌力, 血中濃度および尿中排泄量を測定するとともに, 内科的感染症に対する本剤の臨床効果を検討する機会を得たので報告する。
  • とくにCephaloridineのデイスクによる感受性測定について
    金沢 裕, 倉又 利夫
    1967 年 20 巻 5 号 p. 338-343
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    私ども1)は, さきに合成Cephalosporin C製剤であるCephaloridine, Cephalothinについての基礎的臨床的検討として, その抗菌力, 体液中濃度測定法, 血中濃度測定成績, 細菌の不活化酵素に対する態度, および臨床経験について報告した。今回は, 臨床検査としてのCephaloridine (以下, CERと略記) の感受性デイスク法について検討を加えたので報告する。
  • 浅見 敬三, 真宅 篤, 河村 信夫
    1967 年 20 巻 5 号 p. 344-346
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質のうち抗真菌性をもつものがいくつか発表されているが, 比較的最近に開発された物質として, ポリエン系のPimaricinがある。Pimaricinのカンデイダ性膣炎に対する治療効果を臨床的に検討した発表の中に, 膣トリコモナス症にも有効であつたと述べているものがいくつかみられる (CAZEMIER et al. 1959, LAMBOTTE 1960, 和田ら1965, 山田ら1966)。カンディダ性膣炎治療剤である本剤が, カンディダ症よりもより頻度が高く, しかもこれにしばしば合併しているトリコモナス膣炎にも有効であるとすれば, 臨床的にはきわめて便利な薬剤といえる。しかし, この物質の膣トリコモナスに対する殺虫効果についての基礎的実験をおこなつた発表は, LAMBOTTEのものを除いては見当らないようである。この意味において, 著者らはPimaricinの膣トリコモナスに対するin vitro殺虫効果を検討した。
  • 今井 正雄, 高橋 篁子, 難波 克彦
    1967 年 20 巻 5 号 p. 347-350
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Matromycin T Chewableは, 1錠中Triacetyl-OleandomycinをOleandomycin (以下OLとする) として100 mg (力価) 含有する咀嚼錠である。Triacetyl-OLはOLのトリアセチル誘導体で, 血中濃度が高く, 有効濃度持続の長いこと, 組織及び尿中移行率の高いこと, 副作用の少いこと等のほか, OL特有の苦味が少いので, 小児用として特に有利である等のすぐれた特徴がある。
    今回, 私共は本剤の提供をうけ, 眼科的応用のための基礎的ならびに臨床実験をおこなうことができたので, 以下にその要点を報告する。
  • 腹腔内投与を中心として
    石井 良治, 石引 久弥, 大井 博之, 恒川 陽, 中村 泰夫, 山口 和邦
    1967 年 20 巻 5 号 p. 351-356
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    人体と細菌との宿主寄生体関係の間に, 化学療法剤という人為的要素が介入してからすでに半世紀を過ぎ, 数多くの化学療法剤が発表され, 広範囲に使用されて感染症治療に役立つているが, 一面, そのために感染症の病態に変貌をもたらし, とりわけて細菌側の変貌, すなわち耐性菌の出現は, 感染症治療に困難性を加え, その対策のために各種の新らしい薬剤の探求, 既知抗生剤の改良がさかんにおこなわれている。
    リンコマイシン (LCM) は, 1962年に発表された比較的新らしい薬剤で, 主としてグラム陽性菌に作用し, その抗菌スペクトラムは, マクロライド系の抗生剤に類似している。
    われわれは, すでにLCMについて基礎的. 臨床的検討をおこない発表しているが1), 抗菌力はほぼエリスロマイシン (EM) と同等で, ペニシリンG (PC-G) 耐性ブ菌にも有効であり, また常用抗生剤との間に交叉耐性の存在はみとめられていない。血中濃度は長時間持続が特徴とされるが, 経口投与ではピーク出現時間が遅い。特記すべき副作用もなく, 各種の投与法が可能な比較的使用しやすい薬剤である。
    今回, 新らたに家兎を用いてLCMの腹腔内投与, ならびに実験的感染症に対する効果について検討を加えた。
  • 石山 哲爾, 佐藤 克己, 中村 敬, 竹内 富雄, 梅沢 浜夫
    1967 年 20 巻 5 号 p. 357-363
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    既にわれわれは, カスガマイシンを病菌接種前または接種後のイネに散布したばあいはもちろん, 土壌施薬や浸根処理したばあいにも優れたいもち病防除効果を示すことから, カスガマイシンは浸透・移行性の高いいもち病防除剤であることを指摘した1)~4)。しかし, 吸収された本剤がイネ体内でどのような行動をとるかは明かでなかつた。本研究は, これらの問題についての基礎資料を得る1つとして, 放射性同位元素14Cで標識した塩酸カスガマイシンを用いてそのイネ体での動静をラジオオートグラムでしらべたものである。
  • 平本 道昭, 平松 洋, 小川 豊, 荻野 篤彦, 堀尾 武, 立花 和典
    1967 年 20 巻 5 号 p. 364-367
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    稲のイモチ病の防御に用いられていたカスガマイシンが, 一方, 緑膿菌にも優れた抗菌性をもつことが確認された。皮膚科領域において, 緑膿菌が問題になるのは, 熱傷, 放射線障害その他による難治性潰瘍に2次感染を来たしたばあいで, 緑膿菌感染によつてその治癒は甚しく阻害される。
    カスガマイシンを筋注するばあいは, 血中濃度を制菌的に作用する濃度まで高め, かつ維持することが非常に困難である。しかし'もしこれを直接病巣に作用させることができれば, 充分な濃度が得られるので, 最も効果を挙げ得るものと考えられる。われわれは'この局処療法につき検討を加えた。
    カスガマイシンに関して, 皮膚科領域においての使用に関する報告は, 甚だ少いので, その構造式や特徴等について文献的に簡単に紹介し, 次いで我々の経験した臨床使用成績について報告する。
  • 宮崎 重, 吉田 泰, 定延 和夫, 高崎 登
    1967 年 20 巻 5 号 p. 368-371
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1961年, DOYLE等によって発見されたAminobenzyl Penicillin (AB-PC) は, 従来の諸種のペニシリン製剤と異なり, グラム陽性菌はもちろんグラム陰性菌にも高度の抗菌力を示し, 広範囲抗菌スペクトルムをもつ最新の合成ペニシリンであり, 既に経口用製剤としては, 臨床面に広く使用されている。
    今回われわれは, 日本ブリストルラボラトリーズ株式会社から注射用AB-PC (商品名: シレラール) の提供を受け, 尿路感染に対する効果の判定を依頼されたので, 本薬剤を急性膀胱炎患者に使用し, その効果ならびに本薬剤と消炎剤との併用の効果について検討した。
    AB-PCは, 化学名を6[D(-)-α-Aminophenyl-acetamid] penicillanic acidといい, 右の構造式をもつ白色の粉末で, 1瓶中にアミノベンヂルベニシリンナトリウム250mg (力価) を含有している。
    分子量は372.4で, 水にはpH8.8~9.3に於て500mg/ml以上溶解する。
  • 生亀 芳雄, 鈴木 滋, 小川 秀弥
    1967 年 20 巻 5 号 p. 372-374
    発行日: 1967/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    われわれは今回, 1961年にBristol Laboratoriesにおいて合成された広範囲抗菌スペクトルムをもっAminobenzyl Penicillin (AB-PC) を泌尿器科疾患に使用したので, その成績を報告する。
    本剤は化学名を6[D(-)-α-Aminophenyl acetamid]penicillanic acidといい, 図1のような構造式である。その抗菌力は, グラム陽性菌に対しては従来のPenicillinと同様であるが, グラム陰性菌に対しても抗菌力をしめす。たとえば, Escherichia coliに対する最小発育阻止濃度は, 2.5~5.0mcg/ ml, Klebsiella pneumoniaeには1.25mcg/ml, Proteus vulgarisには5.0mcg/mlである。
    血中濃度は, 経口投与では, 250mgを内服したばあい, その図1 ピークは2時間後にあつて1.7mcg/ml, 500mg内服では3.7mcg/mlと報告されている。筋注のばあいは, そのピークは1時間後にあつて, 250mgでは4.5mcg/ml, 500mgでは8.0mcg/mlである。さらに排泄については内服のばあいは6時間以内に30~40%, 筋注のときは8時間以内に60~70%が尿中に排泄される。
    毒性については'マウスのLD50は経口投与では1,500mg/kgであり, 犬に対して125~250mg/kgを連日投与を3カ月間おこなつても毒性はみとめられなかったといわれている。
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