The Journal of Antibiotics, Series B
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放線状菌の抗菌性物質に関する研究 第4報
No.212株の分類学的研究
加藤 久彌
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1953 年 6 巻 4 号 p. 205-209

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抄録
著者は分離した多数の放線状菌のうちPrimary screeningで抗菌性の特異なNo.212株を選択し, その産生物質, 培養条件等についておこなつた一連の研究結果を順次報告して来た。その第1報では, 比較的簡単な7種類の培地上の発育状態から分類上のだいたいの推定をおこなうに止めたが, 今回は更に詳細な同定試験の結果について記載する。
放線状菌は古くから知られているが, 初期には, 研究者により異なつた命名法と, 使用された培地の組成の不定に基ずく形態学的所見の差異等のため, その分類は系統的に統一されなかつたが, 1914年KRAINSKYが始めて澱紛, ブドー糖, Ca-malate, Ca-nitrate等を炭素源とし, KNO3, NH4Cl, アスパラギン等を窒素源とした一定の組成をもつ培地上の集落及び気菌糸等の形態学的特徴を基準として18種類の放線菌を分類し, 次いでWAKSMANは更に多数の菌種について形態, 培養性状, 生化学的観点から系統的な研究をおこない, 現在の放線状菌の分類を確立した。近年, LUDWIG等は凝集反応及び沈降反応による分類を試みているが, 供試放線菌の数も少く, 未だ実験の域を出ないようである。一方, PRIDHAM等は従来の形態学的分類法では, 集落の形態または色調の変化が往々にして不定なことから, 抗生物質産生株の各種炭素化合物を利用する程度の相違に基ずく分類法を提案した。
著者はNo.212株について, WAKSMANの記載に準じて各種の培地による培養性状を詳細に観察し, 前記KRAINSKY, WAKSMANの報告及びBERGEY's manualの記載と比較し, 同時にPRIDHAM分類に従がつて各種の糖類, 高級アルコール, 有機酸の消費能を検し, Streptothricin群物質産生菌種との間の異同を見た。
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