The Journal of Antibiotics, Series B
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淋疾に対するペニシリン療法の治療効果並びにその予後の判定法 I
ペニシリンによる淋菌の形態的変化観察による鏡検法
内山 義夫上田 智夫高尾 皓之
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1953 年 6 巻 8 号 p. 417-418

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抄録

細菌の形態が他の細菌またはその産生物質によつて影響を受けるということはEMMERICH&SAIDA (1900) がピオチアナーゼによる脾脱疽菌の形態変化を発表した頃から注目され始め, 最近にはペニシリンによる細菌形態の変化についてGARDNER (1940) がWelch-Fränkelsche Gasbrand. bazillenの菌体がペニシリンによつて10倍に延長することや, 紡錘状菌, チフス菌, コレラ菌, 大腸菌等の伸長膨大, 葡萄球菌の膨大, 連鎖球菌の連鎖の延長等を発表して以来, FLEMING (1941) MILLER (1944), THOMAS (1945), ALTURE-WEBER (1945), 野嶽 (1948), 小笠原 (1948), 吉池 (1949), 加藤 (1949), 等の本研究に関する発表があり, 金 (1950) は更に電子顕微鏡学的に本研究をおこなつている。そして, いずれの報告を見ても, 各種細菌体はペニシリンにより先ず膨大, 伸長を来たして巨大型を出現し, 次いで破潰に至ることが述べられている。その他, SLEPPERはペニシリン治療中, 梅毒スピロヘータに長短2型を出現し, 長型は運動鈍く, 屈伸部に菌体肥厚部を認めたとも報じ, ペニシリンによる細菌体の分裂停止に伴なつておこる菌形態の変化について, かなり詳しい研究がなされている。
当病院においては, 多数の淋疾患者を扱う関係上, ペニシリン治療中の淋菌形態の変化を多数例について観察し得る機会に恵まれているので, 今回48名の淋菌腸性者を対象とし, ペニシリン治療中の淋菌の形態並びに大さの変化を観察することによつて治療効果の良否及びその予後を推定できはしまいかと考え, 次のような実験をおこなつた。

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