1953 年 6 巻 8 号 p. 423-424
結核菌の耐性検査法としての直接法には, 衆知のように, 固形培地を用いる方法と液体培地を用いる方法がある。固形培地を用いる方法は菌の耐性分布を知るのに都合がよいことと, 雑菌が比較的生えにくい利点があるが, 一般に薬剤を加えたのち, 加温滅菌するため, 薬剤, 特にストレプトマイシンのようなものの力価はかなり低下することと, 成績判定に長時日を要するという欠点がある。一方, 液体培地による方法は, 染色鏡検する場合は早く結果を知ることができる利点があるが, 一般に耐性の分布は知り得ないこと, 雑菌が生え易いこと, 鏡検するという手数が加わること, 菌の少ない材料では標本上に菌増殖像が全く見られないため判定不能になどの欠点がある。
そこで吾々は, 菌の耐性分布を知り得て, しかも結果を早く知る方法がないかと思い, 固形培地としてYEGIAN及びBUDDの平板計算法による方法, 液体培地としてPRYCE, MULLERまたは山本等のChip slide法を比較検討して見た。