The Journal of Antibiotics, Series B
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慢性胆嚢炎に対するLeucomycin使用経験
吉田 良二鶴間 美代治
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1955 年 8 巻 9 号 p. 415-416

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抄録

Leucomycin (以下LMと略) は北里研究所秦等によつて発見されたStreptomyces kitasatoensis HATAからつくられる抗生物質で(1), 葡萄球菌, 枯草菌, 溶連菌, 肺炎球菌, ジフテリア菌, 破傷風菌, ガス壊疸菌等のグラム陽性菌, 淋菌等のグラム陰性菌及びスピロヘータに強力に作用し, 百日咳菌, ブルセラ属, レプトスピラにも抗菌作用を示すが, グラム陰性腸内細菌には抗菌力が弱いとされ, また毒性は極めて低いことが認められており(2)(3), Erythromycin, Carbomycinに類似する(4) といわれている。LMは化学的純粋に抽出され(5), LM塩基と酒石酸LMがあり, 力価は遊離塩基は1,000mcg/ml, 酒石酸LMは730mcg/mlである。水に対する溶解性は, 遊離塩基は難溶性であるが, 酒石酸塩は易溶性で, いずれも安定な物質である。本剤は経口投与 (LM塩基の錠剤, 小児用としての懸濁用LM) 及び静脈内投与 (酒石酸LM) によつて用いられ, 静脈内投与は主としてRINGER液等の稀釈による点滴注入がおこなわれる。著者等は, 日本抗生物質学術協議会から分与された酒石酸LMを慢性胆嚢炎の1例に使用して, その臨床的経過を観察するとともに, LMの血中濃度及び胆汁中排泄濃度を測定し, 興味ある結果を得たのでここに報告する。

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