The Journal of Antibiotics, Series B
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結核菌の薬剤耐性発現にたいするSulfonamidesの阻止作用
束村 道雄鈴木 鐐三郎君野 徹三
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1955 年 8 巻 9 号 p. 409-414

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抄録

Sulfonamides (Sulfa剤) の薬剤耐性発現阻止作用については, KLEIN & KIMMELMAN(1) (1947) がStaphylococcus aureusについて, sulfadiazineがstreptomycin (SM) のsynergistとして有効であり, 且つSM耐性発現の阻止に有効であることを報告している。次いで日置(2) (1950) は, sulfathiazoleの互変異性体と考えられるSulzolinとSMとの併用によつて, 人形結核菌のSM耐性の出現が阻止されたと述べている。また, INAH耐性阻止について君野(3)(4) (1954) は鳥型結核菌についてSM耐性及びINAH耐性の発現阻止を種々の薬物について検討し, sulfathiazoleが最も有効であると報告した。以上の報告はすべてin vitroの成績であるが, 日置及び君野の報告はsulfathiazoleの1濃度のみを使用しているので, 次のような問題が考慮される。
(1) Sulfa剤のうちでsulfathialeのみが結核菌における耐性発現阻止に有効なのか, またはこの作用はsulfa剤全部に共通するものか。(2) たとえば,sulfathiazoleの耐性阻止作用はどのような条件で有効なのか。(3) これらの報告で使用された実験方法は液体培地の継代培養法であるが, この方法では単独で発育阻止を示すものは, SMまたはINAHとの併用によつて通常発育阻止が強くなる。従がつて, sulfa剤が特異的に耐性阻止作用をもつというためには, SMまたはINAHとsulfa剤の併用下でも十分発育し得る条件で作用を検討しなければならない。(4) Sulfa剤の耐性阻止の機作はどのようなものであるか。
これらの点について検討するため,本報では次の実験をおこなつた。

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