The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科感染症に対するPenimepicycline (Hydrocycline) の使用経験
藤森 速水山田 文夫永田 治義米川 和作
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1969 年 22 巻 1 号 p. 103-107

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抄録

GRADNIKら (1959) は, Tetracycline (TC) とPhenoxymethyl penicillin (PC-V) を酸・塩基結合させ, これが特長的抗菌スペクトルを示すことを見出したが, 水に難溶で注射用としては不適当であつた。この難溶性はTetracycline baseに由来するものであるとの見地から, GRADNIK, PEDRAZZOLIらは, TetracyclineをAminomethylation することによつて水溶性とし, Hydroxyethylen diaminomethyl-tetracycline62.6%とPhenoxymethyl penicillin37.4%を結合させた新抗生物質を合成した (構造式参照)。これがHydrocycline (WHO公定名Penimepicycline) で, 投与後の吸収が容易, かつ速やかであり, 筋肉内注射によつても局所障害が少なく, 血中および諸臓器内濃度の上昇が著明な上, TCのペニシリナーゼ抑制作用によつてPCの活性助長がみられ, PC-G耐性菌にも有効であるとされている。
また, 本剤は単なるTetracycline塩およびPenicillin塩の合剤ではなく, 新らしいCompoundとして, 上述のような特長のため, その臨床的応用が期待されているが, わが国においては, 第16回日本化学療法学会シンポジウムでとりあげられた以外に, まだこれに関する報告をみない状況である。著者らは, 本剤を入手し産婦人科領域における感染予防ないし治療の効果, その他にっき検討する機を得たので, その成績をここに報告する。

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