The Japanese Journal of Antibiotics
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22 巻, 1 号
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  • 鶏およびラッテにおける蛋白分解酵素剤 (コロナーゼS) のクロルテトラサイクリン吸収におよぼす影響
    米沢 昭一, 畦地 速見, 中村 久, 佐藤 修司
    1969 年 22 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 溶血連鎖球菌の培養液から抽出したStreptokinaseおよびStreptodornaseが, 壊死組織融解剤としての効果がみとめられて以来, Trypsin, Pepsin, Ficin, Bromelain等の蛋白分解酵素も潰瘍性病変に対して, その壊死組織の除去を目的として皮膚科領域で使用されている。さらに平山1, 2)は, 酵素剤を炎症局所に投与したぱあい, 抗生物質の病巣内への滲透性を高めることによつて, 膿汁中の抗生物質濃度を著るしく高め得ることを述べ, さらにまた, 病巣内に局所的に注入した抗生物質は, より高濃度に末梢血中に移行することを証明し, 酵素剤との併用効果があることを報告している。これらはいずれも, 酵素剤を局所的に応用したものであるが, 最近柴田ら3)は, 蛋白分解酵素を筋注, 静注または口腔内投与しても, 筋肉内に注射されたペニシリンの膿中または血中への移行を著るしく促進することをみとめており, Bromelain4)やVaridase (StreptokinaseおよびStreptodornase) 5)を抗生物質と同時に経口投与し, 臨床的に好成績をおさめた例も報告されている。しかし, 蛋白分解酵素を経口的に投与したばあいの抗生物質の各組織への移行量に対する影響を比較検討した報告は少なく, わずかに徳田ら6, 7)がBromelain, Proctase (Protease), Lysozymeを用いて, また石井ら8), PECILEら9)がα-Chymotrypsinを用いて血中および皮下組織中の抗生物質濃度に対する影響を比較検討しているにすぎない。
    そこでわれわれは, 酸性Protease製剤“コロナーゼS”(以下, CNと略) を用いて, これとクロルテトラサイクリン (以下, CTCと略) とを同時に鶏またはラッテに経口投与したばあいの心, 肝, 腎, 肺, 脾, 膵, 睾丸, 脳などの各種臓器ならびに血液, 胆汁, 筋肉へのCTC移行量をCTC単独投与のぱあいと比較検討した結果, CNがCTC吸収を促進する成績を得たので, 報告する。
  • 1969 年 22 巻 1 号 p. 7-7,20
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 山田 重男, 豊島 良枝, 小枝 武美, 松本 朋徳, 松尾 勝一
    1969 年 22 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質に混在するHistamineまたはHistamine様物質の多くは, 製品の精製過程に不純物として混入するばあいが多いので, 厚生省は抗生物質製剤基準1) を設け, 抗生剤についてHistamineおよびHistamine様物質の生物学的検定をおこなうように指示している。Histamineの生物学的定量方法については, 従来から種々報告されているがそれらはいずれもHistamineの特異的な薬理作用を応用したもので, たとえば, 末梢血管の拡張作用を観察する方法2), 腺臓器に対する分泌作用3), 平滑筋の収縮作用4, 5, 6) 等を観察する方法等が挙げられる。それらの中で現在Histamineの生物学的定量法で一般に広く応用されているのはGUGGENHEIMの摘出モルモット腸管法7)と猫血圧下降法2) である。抗生物質製剤基準では, 抗生剤中に含まれるHistamineおよびHistamine様物質の生物学的検定方法として, 猫および犬血圧下降法が採用されている。その方法を詳述すると, まず, 実験動物として健康な成熟した猫および犬を使用し, Pentobarbital-Sodium麻酔したのち, 犬頸動脈または股動脈を露出し, これにカニューレを挿入し水銀マノメーターを介してその圧をKymography上に描記するいわゆる観血的方法であり標準Histamine 0.1mcg/kg静脈投与で惹起せられる血圧下降度を求め, これと被検抗生剤による血圧下降度を比較定量する。しかし, 近年2, 3の抗生剤が組織からHistamineを遊離することが報告されているので, Histamineの生物学的定量法としては血圧下降法のみでは不明の点が生じてくる。Histamine遊離抗生剤として, AMON8)は塩基性抗生物質であるStreptomycin, Dihydrostreptomycin, Kanamycin等をあげ, BUSHBY等9)はPolymyxin BおよびPolymyxin Eを, 著者等10)はPolymyxinと化学構造の類似するColistin硫酸塩, 酒石酸塩およびパントテソ酸塩がHistamine遊離物質であることを証明した。すなわちごく少量のPolymyxinおよびColistin塩類を犬, 猫に投与すると血圧は著明に下降し, Histamineの含有が推定され, その降圧機序はこれらの抗生剤が体内諸臓器組織中のHistamineを遊離させることに起因していることがわかつた。このように抗生剤には2, 3Histamine遊離物質が存在するので, 現在利用されているHistamineの検定法に猫血圧下降法のみでは不充分で, 抗生剤にHistamineおよびHistamine様物質が直接混在しているのか, またはそのものがHistamine遊離抗生剤であるのか, この両者の区別が判然としない。そこで著者等はこの間題を明らかにするため, HistamineおよびHistamine遊離物質を用いてHistamineの生物学的検定方法を再検討したので, その成績をここに報告する。
  • 新美 仁男, 寺島 周, 村松 芳子
    1969 年 22 巻 1 号 p. 14-15
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新合成ベニシリンであるメチルジクロロフェニルイソキサゾリルペニシリンナトリウム (スタフシリンA万有) は, ペニシリナーゼ産生ブドウ球菌に対する活性が著るしく強く, ペニシリンGや他の抗生物質に耐性のブドウ球菌もこれに対して感受性をもち, しかも従来の合成ペニシリンの約半量で同程度の臨床効果が得られるといわれる。今回われわれは, そのドライシロップを使用する機会を得たので, 小児呼吸器感染症に投与した。ここにその臨床効果を報告する。
  • 中沢 昭三, 小野 尚子, 目片 勇, 川辺 晴英, 西野 武志
    1969 年 22 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (PMC) は1959年イタリアのPEDRAzZOLI, GRADNIK, CIPELETTIらによつてつくられた4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylene-diaminomethyl tetracycline 62.5%と, Phenoxymethyl-penicillin37.4%に含む酸・塩基結合の新らしい複合抗生物質である。
    水に1,428mg/ml溶け, メタノールにきわめて溶けやすく, エタノールには僅かに溶け, その他の有機溶媒にはほとんど溶けない。
    2% (20mg/ml) 水溶液のpHは5.5~5.7であり, 融点は143℃ で完全に融解し分解する。比旋光度は[α]20D=50.5±2゜(2%メタノール溶液,20℃), 紫外部吸収はメタノール溶液で270mμと366mμ に吸収極大をみとめる。赤外部吸収は, 混合物でみられる遊離カルボン酸基 (-COOH) の1750cm-1の吸収帯は合成したPMCでは全くみられなくなる。カルボキシレート (-COO-) の1600cm-1および1320cm-1の吸収帯は混合物よりPMCに増大がみとめられる。
    マウス急性毒性 (LD50), 皮下1,096mg/kg, 静注345mg/kgである。
    今回, 私どもは本物質の細菌学的研究をおこなつたので, その成績について述べる。
  • 小松 信彦, 山野 敦子, 小黒 義五郎
    1969 年 22 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tetracyclineの治療応用が知られて以来, その溶解度が低いため, 適用法はおもに経口投与に限定され, 注射剤としての利用は困難であつた。Tetracycline塩酸塩は, 最初の可溶性塩であるが, その水溶液は生理的pHの範囲で容易に解離してTetracycline塩基の沈殿を生ずる。したがつて, 溶解性をさらに高めるためにクエン酸, アスコルピン酸, グルコサミンなどの添加, またはメタ燐酸塩などがつくられたが, 注射局所の副作用の発生にたいする解決とはならなかつた。
    その後, 中性附近できわめて溶解度が高く, 吸収も速やかなTetracycline誘導体としてPyrrolidinomethyl tetracycline1, 2) やTetracycline-L-methylenelysine3) が開発され, 経口投与のみならず筋注または静注による投与法に改善がみられた。
    ところで, PEDRAZZOLI, GRADNIKら4, 5, 6) は, 水溶性のTetracycline化合物を求める目的で, Aminomethylation法によつて多数のTetracylineのaminomethyl誘導体の合成を試みたが, そのなかで溶解性のもつともすぐれたものとして4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyl tetracyclineを発見した。その水にたいする溶解度は,次のとおりである。
    4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyl-tetracycline 1g/0.7ml
    Tetracycline 塩基 1g/2,500ml
    Tetracycline 塩酸塩 1g/10ml
    この水溶液のpHは7.4~7.6で, 広範囲のpH域で沈殿を生じない。そして抗菌活性と抗菌スペクトルは, テトラサイクリンとほとんど同じである。
    一方, GRADNIK & FERRERO7) は新らしいTetracycline塩であるTetracycline phenoxymethylpenicillinateを酸・塩基結合の形でつくり, このものはPenicillin耐性菌およびグラム陽性菌にたいしてTetracycline塩酸塩よりも高い抗菌力を示すことがみとめられたが, 水に難溶性で注射用としては不適当であつた。この難溶性は, 明らかにTetracycline塩基の性質に由来するものである。そこでPEDRAZZOLI, GRADNIK & CIPEllETI4) は上述の水溶性Tetracycline誘導体にPhenoxymethylpenicillinを結合させて表記の化合物すなわちPenimepicyclineを創製した。この化合物は,4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyl tetracycline (HDTと略) を62.6%, Phenoxymethylpenicillin (PC-Vと略) を37.4%すなわち両物質を等モル含み, 水にきわめて易溶性 (1g/0.7ml) であり, 毒性はTetracycline塩酸塩と大差ない。
    抗菌スペクトルは, CERVlNI, ANGELINI & VELLI8) の報告によると, だいたいの傾向として含有する両抗生物質の活性を兼備した広域スペクトルを示すが, Penicillin耐性のグラム陽性球菌のいくつかのものにたいしてPC-VのReactivationが観察され, またグラム陰性桿菌の数例においては, HDTのPotentiationがみとめられ, さらにまたPC-VとHDTのReciprocal potentiationがみられた菌もあつた。彼等は実験に使用した19株の各種細菌にたいする本剤およびその成分であるPC-VとHDTの各個の活性を比較した結果を次のように解釈している。
    (1) Reciprocal potentiation がみられたもの 5株
    (2) Potentiation of HTD 4株
    (3) Reactivation of PC-V (PC-V耐性菌において) 2株
    (4) No potentiation (PC-VまたはHDTの強いほうと同等 4株
    (5) Slight antagonism 4株
    このうち(5)のAntagonismにおいても, その量的な差は僅少で, 問題とするほどのものではないとしている。
    要するに, 本剤の狙いとするところは, Tetracycline分子にHydroxyethyldiethylenediaminomethyl側鎖を導入することによつて水溶性とし, これにPC-Vを結合させて, 筋注または内服による吸収拡散を速やかにするとともに, 両剤の相加的または相乗的効果によつて抗菌スペクトルの拡大をはかり, Penicillin耐性菌にも使用しうる利便を求めたものである。
    著者らは, 本剤の効果についていささか興味を覚え, その抗菌スペクトルについて追試検討したので報告する。
  • 小松 信彦, 中沢 進, 岡 秀, 佐藤 肇, 今井 重信
    1969 年 22 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tetracycline類の副作用1~3)としては, 筋注時の痛みが最も顕著なものであるが, この疼痛は注射直後のそれと, 持続する疹痛に分けられる。前者は, この薬剤のpHの低さに起因するもので, 局所麻酔剤の併用によつてかなりの程度緩和されると考えられる。しかし後者は, この薬剤の溶解度が低いことに起因し, 注射部位への薬剤の沈着, 組織傷害等によるもので, この疹痛を除くためには, 薬剤そのものの溶解度を高め, 組織における吸収を良好にすることが必要である。
    Penimepicycline (PMC) は, Tetracyclineの易溶性誘導体4'-β-Hydroxyethyl diethylenediahlinomethyltetra-cyclineにPhenoxymethylpenicillin (Penicillin V) を結合させたもので, その溶解性の向上と抗菌スペクトルの広さによつて注目される薬剤である。
    この度, われわれはPenimepicycline筋注用製剤の各種注射法による組織傷害の有無を他のTetracycline類一Tetracycline HCl (TC), Oxytetracycline (OTC) およびPyrrolidinomethyl tetracycline (PR-TC) と比較し, PenimePicyclineの組織に与える影響の少ないことを確認した。
  • 中村 正夫, 森 耕一
    1969 年 22 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocycline) はPEDRAZZOLI, GRADNIKおよびCLIPELLETTIらによつて合成された化合物で, 4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyl tetracyclineとPhenoxymethylpenicillinを水溶液中で反応結合させた塩結合体であり, 前者62.5%, 後者37.4%が含まれている。
    従来のTetracycline (TC) にくらべ易溶性であるため, 非経口的に与えることによつて有効な治療効果をあげることができ, 経口投与によつてみとめられたTCの障害を除くことができ, また, 注射をおこなつたぱあいにも筋注用TC製剤に比較して, 肉眼的, 病理組織的所見からみても障害は軽度であり, 臨床的に使用したばあいの局所変化や疹痛が少ないといわれる。一方, このような薬剤について一般にの待されることは, 2つの抗生物質の相加, または相乗作用であると思う。
    われわれは, 本剤について試験管内抗菌力試験をおこなう機会を得たので, 各種細菌について抗菌スペクトラムをみると同時に, 臨床検査材料から分離された新鮮分離株について薬剤感受性を測定し, 既知抗生物質と比較したので, これらの成績について述べる。
  • 稲原 弘久, 土居 卓治, 渡辺 良三
    1969 年 22 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (4-β-Hydroxyethy1-diethylenediaminomethyltetracycline phenoxymethylpenicillinate) は, GRADNIKら1)が臨床応用面から, まずTetracycline-Penicillinの造塩体をつくり, 興味のある抗菌スペクトルを得たが, その溶解性に欠点がみられこれがTetracyclinebaseに由来することから, PEDRAZZOHら2)が得た水溶性Tetracycline誘導体であるMepcycline(4-β-Hydroxyethyl-diethylenediaminomethyltetracycline)を用いて, PEDRAZZOLI, GRADNIKらは, Penmepicyclineを合成した。このものは, 生理的pHで水によく溶ける安定な化合物で非経口的投与が可能で, 広い抗菌性スペクトルをもち3), Penicillin耐性菌に対しても抑制効果を示すものである。
    Penicillin耐性菌に対するPenimepicycline効果の一部は, もちろんTetracycline自体のもつ抗菌性によるものであるが, Penicillin耐性菌に対するTetracycline系薬剤の作用に関する種々の報告4~7) から, 薬剤に接触した菌細胞がPenicillinase産生能の低下を来たすことが示されている。一般に, 人工耐性菌を除くPenicillin耐性ブドウ球菌の抵抗性が, Penicillinaseの産生に基ずくものであることから8), Tetracycline系薬剤がこの産生を妨たげるとするならば, この両者の結合体であるPenimepicyclineでは, Penicillin耐性菌に対するPenicillinの効果の増強が期待される筈である。今われわれは, Penimepicyclineの抗菌作用を検討するに当つて, これらの点に検討を加えた。すなわち, 自然耐性菌(Staphlococcus aureus226)をあらかじめTetracycline, Mepicycline, Penimepicyclineの有効量(以下, subactive dose)と一定時間接触させたのち, この菌を本培養し, 培養液中の菌体Penicillinase産生状況を時間を追つて検討し, 接触薬剤の種類, 濃度による差を薬剤と接触しなかつたものを対照として比較し, これらTetracycline系薬剤がPenicillinaseの産生を, 一時的にもせよ, 抑制することを明らかとしたので, 報告する。
  • 生亀 芳雄, 工藤 三郎, 小川 秀弥
    1969 年 22 巻 1 号 p. 41-42
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocycline) は, TetracyclineをAminometすylationし, それにPhenoxymethyl penicillinを結合させたものである。
    本剤は水溶性がよく, 広領域スペクトルをもち, またTetracyclineによるペニシリナーゼ抑制作用によつて, Penicillin G耐性菌にも効果があるなどの特性をそなえている。その毒性は, Tetracycline hydrochlorideと同程度である。
  • 石神 襄次, 原 信二, 福田 泰久, 速見 晴朗
    1969 年 22 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocycline, 以下PMC) は, 4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyl-tetracyclineとPhenoxymethyl penicillinとを当モル結合させた新合成化合物で, この製剤は特に水にとけやすく, したがつて血中濃度が高く, 長時間持続し, 副作用もより少ない特徴をもつている。
    今回私達は, 注射用PMCを諸種の尿路感染症に使用し, その臨床効果を検討すると共に, 筋注投与時の血中濃度を測定し, また尿路から分離したブ球菌, 大腸菌に対する抗菌力をも検索したので, 報告する。
  • 石山 俊次, 坂部 孝, 川上 郁, 岩本 英男, 大島 聰彦, 鷹取 睦美
    1969 年 22 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocycline) は, TetracyclineとPemicillin Vとを水溶液中で反応させてつくられた塩結合体であり, 新型の抗生物質である。このものが単なる混合体でなく, Aminomethylationによる化合物であることについては, 渡辺らの研究がある。結果として, Tetraccylineの水溶性を高め, Penicillin Vの耐性ブドウ球菌に対する抗菌力を強くした。Tetracyclime系抗生物質は難溶性で, Tetracyclime-baseの溶解度は0.04%, その塩酸塩でもようやく10%で, しかもその水溶液は酸性が強く (pH2), 15~25分で解離してBaseを生ずる。このために, Tetracycline (TC) の溶解度を高めるために種々の工夫がなされており, すでにPyrrolidinomethyl-TCがある。また, Penicillim Vは, 耐酸性Penicillin (PC) として, 最初に製品化された内服用PCであるが, その強い抗菌力にもかかわらず, β-Lactamaseによつて破壊される弱点があつた。Tetracyclineの水溶性がAminomethylationによつて高められると同時に, Penicillin Vと酸塩基結合をおこし, その結果が両抗生物質の弱点を補い合うとなれば, 臨床応用にあたつては誠に好都合であり, 新型の抗生物質というに相応するものと考えた。また, Tetracyclimesは体内では主として肝から排泄され, Pemicillin Vは腎から排泄される。その結合体であるPemimepicyclineがどのような排泄形式をとるのか, また体内でPenimepicycline entityとして存在するのか, それとも可逆性に解離してTetracyclineとPemicillin Vとが別々の行動をとるのかは, Pharmacokineticとしても興味あるところである。
    われわれは, このことを念頭において, 新型のこの抗生物質の外科領域の感染症に対する応用を検討した。
  • 中島 邦夫, 谷垣 利幸, 保井 英憲, 中村 峰三
    1969 年 22 巻 1 号 p. 52-54
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocycline) 1)は, Phenoxymethyl penicillin (PC-V) と4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylendiaminomethyl tetracyclineが, それぞれ1モルづつ酸・塩基結合した抗生物質である2, 3)。
    その特性としては, 水にきわめてよく溶解し (1.0g/0.7ml), 筋肉内注射と経口投与の両者が可能であり, 高い血中濃度が長時間持続するといわれている。その抗菌スペクトラムは広域性であり, 特にPemicillin耐性ブドウ球菌に対して顕著な効果を示すとされているが, 今回は溶連菌感染症の1つである狸紅熱に対して投与し, 著明な効果を得たので, その成績を報告する。
  • 鈴木 豊明
    1969 年 22 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocycline, 以下PMCと略す) は, 4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyltetracyclineとPhenoxymethyl penicillinとの化合物で, 水に対する溶解性に優れ, Penicillin G (PC), Tetracycline (TC) 感受性菌にはもちろん, PC, TCに耐性を獲得した或る種の菌もこれに対して感受性をもち, またPC, TC両者の相乗作用をもつ新抗生剤として登場したものであるが, 今回, 細菌感染症, 特に重症感染症, 抗PC, 抗TC菌による上気道感染性に使用した経験について述べる.
  • 内田 茂美
    1969 年 22 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症に対する化学療法はかなり確立され, つぎつぎと新らしい薬剤が開発されつつあるが, 難治な症例は依然として存在しており, 広範囲の抗菌スペクトラムをもち, 強力な抗菌効果を示し, 耐性菌の増加に対して効果的に対抗できるような抗生剤の出現が待望されている
    最近, PEDRAZZOLI, GRADNIKら1)は, テトラサイクリンの分子中にHydroxyethyldiethylenediamineを導入してHydroxyethyldiethylenediaminomethyl tetracycline (HDT) を合成し, このものは従来のテトラサイクリン塩より遙かに溶解性が高く, 非経口投与が容易であり, 高い血中濃度に達し得られるが, さらにこのものにPhenoxymethylpenicillin酸2) (PC-V) を結合させて得られた新化合物4'-(β-Hydroxyethyl) diethylenediaminomethyltetracycline phenoxymethylpenicillinate (Penimepicycline) は, 非常に高い溶解性をもち, ペニシリンG耐性菌に対しても強い抗菌力を示し3), しかも作用時間が長く4), 副作用が少ない5)ことが報告されている。CERVINIら6)によると, PC-VはHDTとの結合によつて再活性7)されることによるものと解釈され, あるいは両者相互の賦活作用をみとめ, 各々別個の最少阻止濃度にくらべ, 2つを結合したものではより低い量で抗菌活性をみとめる。また, FERREROら3)はHDTによる細菌のペニシリナーゼ産生減少が関与するという。本剤の臨床応用については, すでに多くの報告8-11)があり, 筋肉内注射によつて高い血中濃度が得られている4, 12-14)。
    今回, ミドリ十字からPenimepicycline剤であるHydrocyclin (以下, PMCと略) の提供を受け, 諸種感染症に使用して良好な成績を得たので, その概要を報告する。
  • 内田 茂美
    1969 年 22 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, PEDRAZZOLI, GRADNIKら1)はテトラサイクリン分子中にHydroxyethyldiethylenediamineを導入してHydroxyethyldiethylenediaminomethyltetracycline (HDT) を合成し, このものは従来のテトラサイクリン塩より遙かに溶解性が高く, 非経口投与が容易であり, 高い血中濃度に達し得られるが, さらにこのものにPhenoxylnethylpenicillin酸2) (PC-V) を結合させて得られた新化合物, 4'-(β-Hydroxyethyl)-diethylenediaminomethyltetracycline Phenoxymethylpenicillinate (Penimepicycline) は非常に高い溶解性をもち, ペニシリン耐性菌に対しても強い抗菌力を示し3), しかも作用時間が長く4), 副作用が少いこと5)が報告されている。CERVINIら6)によると, PC-VはHDTとの結合によって再活性7)されることによるものと解釈され, あるいは両者相互の賦活作用をみとめ, 各々別個の最少阻止濃度にくらべ, 2つの結合したものではより低い量で抗菌活性をみとめている。またFERREROら3)は, HDTによる細菌のペニシリナーゼ産生減少が関与するという。本剤の臨床応用については, すでに多くの報告8~11)があり, 筋肉内注射によつて高い血中濃度が得られている4, 12~14)。
    著者はさきにミドリ十字からPenimepicycline剤であるHydrocycline (以下, +PMC) の提供を受け, 諸種感染症に使用し良好な臨床効果を報告したが, 今回はその後の臨床治験成績について報告する。
  • 勝 正孝, 藤森 一平, 小川 順一, 伊藤 周治, 島田 佐仲, 藤井 俊宥
    1969 年 22 巻 1 号 p. 68-69
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニメピサイクリン (Penimepicycline) は, PEDRAZZOLI, GRADNIK, CIPELETTI等 (1959) によつてイタリヤで開発された新抗生剤で, Phenoxymethyl penicillin 37.4%, 水溶性の高いTC誘導体4'-(β-Hydroxyethyl) diethylenediaminomethyl tetracycline 62.5%の割の結合体であるといわれ, 特に, 耐性ブ菌感染症に優秀な治療効果があるといわれている。今回われわれは本剤の臨床治療効果について, 少数例ではあるが, 多少の経験を重ねたので報告する。
  • 中沢 進, 岡 秀, 佐藤 肇, 平沢 与枝子, 近岡 秀次郎, 神田 修次, 新井 蔵吉
    1969 年 22 巻 1 号 p. 70-78
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (以下PMCと略記) は, 従来のTetracycline (TC) 系製剤に比較して溶解度の高いPiperazine誘導体Hydroxyethyldiethylenediaminomethy-TC 1 mol とPhenoxymethy penicillin (PC-V) 1 mol つつの酸・塩基結合の新抗生剤であり, 溶解性が高いために (1,428mcg/ml), 従来のTC系製剤に比較して注射時の局処組織に及ぼす障害が少く, 注射, 内服いずれによつても生体内によく吸収され, TCとPCの併用による抗菌性の拡大, ある種の菌属, 特にブドウ球菌に対する抗菌性の強化のみられる点を特徴としている1~5)。すでに外国では, 各種の急性呼吸器感染症に使用して優秀な治療効果のあつた報告がみられる (第1~2表) 6~8)。
    私等も, 本剤の筋注を主体としての小児科領域における一連の基礎的, 臨床的検討をおこない, 価値ある成果を得ることができたと思われるので, 今日までの概況について報告する。
  • 張 南薫, 砂田 裕和, 国井 勝昭, 伊藤 達也, 江 銃謙, 松崎 浩, 斉藤 忠明
    1969 年 22 巻 1 号 p. 79-86
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    テトラサイクリン系抗生物質は, 従来から広く使用されている抗生物質であるが, なお, いくつかの難点があり, これの解決のために種々の努力がなされている現状である。すなわち, 本剤の経口投与時にみられる胃不快感, 悪心, 嘔吐, 下痢等の胃腸障碍であるが, これらは, 従来のTetracycline製剤の水溶性が低く, たとえ, 酸性において溶解しても, 弱アルカリ性の腸管粘膜や組織と接触すると, 不溶性の沈澱を生じ, これが腸粘膜を刺戟して種々の障碍を惹起するとされている。また, これらの不溶性のTetracydineは, 吸収が悪いため, 血中濃度が上らず, 腸内に残留して腸内細菌に影響してAvitaminosis, Staphylococcia, Intestinalmycosisの原因ともなるとされている。
    一方, Tetracycline製剤の筋注製剤は, 注射時賜所に激痛を伴ない, しばしば浸潤を生ずるのは諸家のみとめるところであるが, その原因としては, 難溶性のため, 組織と接触したさいに, 不溶性のTetracycline basdや, 蛋白結合物を形成するからであるとされている。さらに, 璋年の耐性菌の増加は, 諸家の広くみとめるところである。これらの難点を解決するため, 種々の努力がなされ, 新らしいいくつかの誘導体, 配合剤等が開発され, 目的を達しつつある。
    1959年, PEDRAZZOLIは4'-(β-Hydroxy-ethyl)-diethylenediaminoethyltetracycline phenoxypenicillinate (Penimepicycline, 以下PMC) を開発した。PMCはTetracyclineの難溶性をAminomethylationによつて水易溶性としたHydroxyethyldiethylene diaminomethyl tetracycline62.6%, Phenoxymethyl penicillin37.4%を化学的に結合させて得られた塩である1, 2)。本剤の特徴は, その高水溶性のため, 吸収が容易であること, 耐性ブドウ球菌に対しても抗菌力を発揮すること, 筋注しても局所球応が少い, などの長所が挙げられている。われわれは, 本物質につき, 基礎的, 臨床的検討を加えたので報告する。
  • 水原 春郎, 八坂 篤
    1969 年 22 巻 1 号 p. 87
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicyclineは, TetracyclineとPemicillin V との化合物で, Penicillin単独とTetracycline単独の使用では, その効果について全く制限があることは衆知の事実である. しかし, その化合物は, 各々の薬剤の効力を, さらに倍加するものと考えられる。
  • 三国 政吉, 大石 正夫, 周田 茂雄, 今井 正雄, 高橋 篁子
    1969 年 22 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicycline (Hydrocyclime, 以下PMC) は, PEDRAZZOLI, GRADNIKらによつて合成されたTetracycline。(TC) 誘導体の新しい合成抗生剤で, 広い抗菌スペクトルと, 高い血中, 体液内濃度が得られ, 毒性もきわめて低い等の性状をもつ。
    今回, 私共は本剤の眼科的応用にさいしての基礎的ならびに臨床実験をおこなう機会を得たので, 以下にそれらの成績を報告する。
  • 大越 正秋, 名出 頼男, 川村 猛, 鈴木 恵三, 川上 隆, 長久保 一朗
    1969 年 22 巻 1 号 p. 95
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 上田 泰, 中村 昇, 古屋 千鶴子, 松本 文夫, 斉藤 篤, 野田 一雄, 大森 雅久, 中村 喜典
    1969 年 22 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicyclineの基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, 以下その成綾を述べる.
  • 花井 卓雅, 吉田 国二, 斉藤 道夫
    1969 年 22 巻 1 号 p. 100-102
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    PenicillinとTetracyclineが結合しているPenimepicycline (Hydrocycline) は, PenicillinのBactericidalな作用とTetracyclineのBacteriostaticな作用とによつて, グラム陽性球菌のみならず, グラム陰性桿菌に対しても効果が期待できるものと考える。
  • 藤森 速水, 山田 文夫, 永田 治義, 米川 和作
    1969 年 22 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    GRADNIKら (1959) は, Tetracycline (TC) とPhenoxymethyl penicillin (PC-V) を酸・塩基結合させ, これが特長的抗菌スペクトルを示すことを見出したが, 水に難溶で注射用としては不適当であつた。この難溶性はTetracycline baseに由来するものであるとの見地から, GRADNIK, PEDRAZZOLIらは, TetracyclineをAminomethylation することによつて水溶性とし, Hydroxyethylen diaminomethyl-tetracycline62.6%とPhenoxymethyl penicillin37.4%を結合させた新抗生物質を合成した (構造式参照)。これがHydrocycline (WHO公定名Penimepicycline) で, 投与後の吸収が容易, かつ速やかであり, 筋肉内注射によつても局所障害が少なく, 血中および諸臓器内濃度の上昇が著明な上, TCのペニシリナーゼ抑制作用によつてPCの活性助長がみられ, PC-G耐性菌にも有効であるとされている。
    また, 本剤は単なるTetracycline塩およびPenicillin塩の合剤ではなく, 新らしいCompoundとして, 上述のような特長のため, その臨床的応用が期待されているが, わが国においては, 第16回日本化学療法学会シンポジウムでとりあげられた以外に, まだこれに関する報告をみない状況である。著者らは, 本剤を入手し産婦人科領域における感染予防ないし治療の効果, その他にっき検討する機を得たので, その成績をここに報告する。
  • 稲原 弘久, 土居 卓治, 美馬 康広, 渡辺 良三
    1969 年 22 巻 1 号 p. 108-119
    発行日: 1969/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penimepicyclineは, PEDRAZZOLI, GRADNIK, CIPELETTIらによつて合成された化合物で1-4), MepicyclineとPhenoxymethyl penicillinを溶液中で反応結合させた造塩結合体であり5), 広い抗菌性スペクトルをもつている。この物質の化学構造, 特に造塩結合について, さらに物理化学的性質, 生物学的定量法, 理化学的定量法について検討を加えたので報告する。
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