The Japanese Journal of Antibiotics
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抗生物質の濃度分布を中心とする開放性骨折の化学療法について第9報
骨折部血腫内に注入されたKanamycinの濃度の消長に関する実験的研究
近藤 茂
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1971 年 24 巻 2 号 p. 76-79

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抄録

すでに述べたように12, 13), カナマイシン (以下KMと略), 特にその結晶硫酸塩は, 一硫酸KMで, C18H36N4O11・H2SO4・H2Oの分子式をもち, 広範囲のスペクトラムをもつ抗生物質24, 25) として, 広く用いられている。
整形外科方面においても, 開放性骨折のDebmidementおよび1次閉鎖後をはじめとして, その他の無菌的手術にせよ, 骨関節といつた感染に対して抵抗力が弱い組織の術後感染予防に, KMは広く用いられいている抗生物質のひとつである。
このようなばあい, 当然, 筋肉内注射による全身的投与が常用されているが, 我国においては, 手術創内に直接注入することが広くおこなわれている。しかし, 筋肉内投与のばあい, 手術創内, 特に骨髄, 骨損傷部からの内出血によつて生じた血腫への抗生物質の移行に関する研究は少く, また, 手術創内に注入された抗生物質の濃度の消長は, ほとんど知られていない。
著者は, この問題に関して, 動物実験をおこない, 2, 3の興味ある成績を得たので, 以下に報告するが, 今回はKMについて発表をする。

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