The Japanese Journal of Antibiotics
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呼吸器感染症におけるCephalothin (CET) 大量点滴静注
泉川 欣一斎藤 厚那須 勝原 耕平
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1973 年 26 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

感染症を治療するばあい, 使用抗生剤の選択, 投与法および投与量に関しては多くの方面からの充分な検討がおこなわれた上で常用投与量の決定がなされているが, 実際には感染巣の部位, 起炎菌の種類, 病期, 病態の軽重など種々の相異によつて, 同一抗生剤でも当然その投与量, 投与法は異なるべきである。
理論的には, 起炎菌に対する使用抗生剤の最小発育阻止濃度 (MIC) 以上の濃度で病巣に抗生剤が移行すればよいが, 一部の感染巣をのぞけば, 多くのばあい, それを知ることは不可能に近い。原因菌の抗生剤感受性に応じて治療しても予想されるほどの効果が得られず, 薬剤感受性試験と臨床効果の不一致がみとめられることもしばしばであり, そのようなばあいは, 起炎菌の判定に誤りがあつたかどうか, また充分量の抗生剤が病巣に到達したかどうかが問題となる。後者の憂いを除くには, 特に呼吸器系のように抗生剤がそれほど容易に移行しにくい場所では, 比較的大量の抗生剤投与が必要であろう。5%ブドウ糖液の点滴が粘稠な気管分泌物をよく排出させるのは1), 点滴による水分が気道内によく移行するためと考えられ, 松本らは, この中に抗生剤を加え, 難治性呼吸器感染症に良好な成績を挙げている2)。
このような考え方に基づき, 本稿では合成セファロスポリンC系抗生剤であるCephalothin (CET) を5%ブドウ糖500mlに2.0~8.0g溶解し, 静脈内に投与した成績について述べる。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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