The Japanese Journal of Antibiotics
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26 巻, 1 号
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  • 慢性毒性
    羽里 彦左衛門, 山本 正, 田所 一郎, 川村 明義, 鈴木 潔, 西岡 久寿弥, 奥木 実, 浜島 健治, 坂本 元子, 橋本 敬祐, ...
    1973 年 26 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Josamycin propionate (プロピオン酸ジョサマイシン) は, 苦味のないJosamycinの誘導体で, シロップ剤などの用途に適したものである1)。
    さきにJosamycin propionateの急性ならびに亜急性毒性について報告したが2), ラットに6カ月 (194日) 間経口投与しておこなつた慢性毒性試験の結果を以下に報告する。
  • 泉川 欣一, 斎藤 厚, 那須 勝, 原 耕平
    1973 年 26 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症を治療するばあい, 使用抗生剤の選択, 投与法および投与量に関しては多くの方面からの充分な検討がおこなわれた上で常用投与量の決定がなされているが, 実際には感染巣の部位, 起炎菌の種類, 病期, 病態の軽重など種々の相異によつて, 同一抗生剤でも当然その投与量, 投与法は異なるべきである。
    理論的には, 起炎菌に対する使用抗生剤の最小発育阻止濃度 (MIC) 以上の濃度で病巣に抗生剤が移行すればよいが, 一部の感染巣をのぞけば, 多くのばあい, それを知ることは不可能に近い。原因菌の抗生剤感受性に応じて治療しても予想されるほどの効果が得られず, 薬剤感受性試験と臨床効果の不一致がみとめられることもしばしばであり, そのようなばあいは, 起炎菌の判定に誤りがあつたかどうか, また充分量の抗生剤が病巣に到達したかどうかが問題となる。後者の憂いを除くには, 特に呼吸器系のように抗生剤がそれほど容易に移行しにくい場所では, 比較的大量の抗生剤投与が必要であろう。5%ブドウ糖液の点滴が粘稠な気管分泌物をよく排出させるのは1), 点滴による水分が気道内によく移行するためと考えられ, 松本らは, この中に抗生剤を加え, 難治性呼吸器感染症に良好な成績を挙げている2)。
    このような考え方に基づき, 本稿では合成セファロスポリンC系抗生剤であるCephalothin (CET) を5%ブドウ糖500mlに2.0~8.0g溶解し, 静脈内に投与した成績について述べる。
  • 中沢 正, 福島 寛二
    1973 年 26 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) は, UMEZAWAらによる不活化機構の理論的追求と置換基の変換研究の結果から見出された新しいアミノ配糖体抗生物質であり, グラム陽性菌およびグラム陰性菌, とくに緑膿菌や多くの薬剤耐性菌に対して強力な抗菌作用を発揮することが知られている。一方, この種のアミノ配糖体抗生物質の内耳におよぼす影響については, 種々の報告がある2, 3)。
    今回, 著者らはGentamicinを対照に, DKBの耳介反射およびCochlear microphonics (CM) におよぼす影響について比較検討した。
  • 小枝 武美, 柴田 右一, 浅岡 宏康, 加畑 行夫, 八巻 芳夫
    1973 年 26 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) は, Kanamycin Bを化学的処理によつて, 3'および4'位の水酸基を水素で置換した下図の化学構造をもつ物質である。
    梅沢浜1) は, アミノ配糖体抗生物質の耐性機転を明らかにし, その結果に基づいて梅沢純夫らの協力によつて, このDKBを合成し, 特に緑膿菌および多くの薬剤耐性菌に対してきわめて有効であると報告している2)。
    著者らは, DKBの薬理学的性質について, 2, 3の検討をおこなつたので, その成績を報告する。
  • マウスおよびラットの胎仔および新生仔におよぼす影響
    小枝 武美, 森口 政英
    1973 年 26 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    3', 4'-Dideoxykanamycin Bの催奇形性をddマウスおよびDonryuラットを用いて検討した。
    1. マウスでは, 腹腔内投与で400mg/kg群に89.7%, 筋肉内投与で250mg/kg群に64.1%の母体死亡がみとめられ, ラットでは筋肉内投与で300mg/kg群に35.0%の死亡がみとめられた。
    2. 死亡胚の発現は, いずれのばあいも, 投薬群と対照群との間に著差はなかつた。
    3. 胎仔の外形および骨格の異常出現は投薬群と対照群との間に著差はなかつた。
    4. 分娩率, 哺育率, 新生仔の体重推移および諸臓器などに薬物の影響はみとめられなかつた。
    5. 以上の結果から, DKBはマウスおよびラットの胎仔, 新生仔にたいして, 腹腔内, 筋肉内投与において催奇形性のない薬剤であると推察される。
  • ラットにおける吸収, 排泄, 分布, 代謝について
    小宮 泉, 早坂 洋司, 村田 信二郎, 駒井 知好, 梅村 甲子郎
    1973 年 26 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    3', 4'-Dideoxykanamycin B (以下DKBと略記) は, Fig. 1のような化学構造をもち, 梅沢ら1) によつてカナマイシンBから合成された新抗生物質である。梅沢ら2, 3) は, アミノ配糖体抗生物質の耐性機序を研究し, カナマイシンにおいては, R因子耐性菌や, 耐性ブドウ球菌, 緑膿菌の耐性が多くのばあい, 3'-OH基に対するリン酸化酵素の存在によるものであることを明らかにした。DKBは, これらの知見にもとずいて, カナマイシンBのもつともリン酸化されやすい3'-OHと4'-OHとを水素原子に置換したものであり, 多くの耐性菌をはじめ, カナマィシン系抗生物質に感受性の少ない緑膿菌にいたるまで, 強い抗菌力をもつている。
    著者らは, このDKBについて, その有効性と安全性に関する基礎研究の1っとして, トリチウムで標識されたDKB (以下3H-DKBと略記) を使用し, ラットにおける血中濃度, 尿中排泄, 代謝と体内分布について検討した。
  • ウサギおよびイヌにおける吸収, 排泄および分布
    藤田 正敬, 福島 寛二, 安部 政弘, 友野 法子, 梅村 甲子郎
    1973 年 26 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしい三環性アミノ配糖体抗生物質である3', 4'-Dideoxykanamycin Bのウサギおよびイヌにおける吸収, 排泄および分布などの生体内動態を本物質の硫酸塩を用い, 微生物検定法によってしらべるとともに, 硫酸Gentamicin (GM注射液) と比較した。
    (1) DKB 20mg(力価)/kgを蒸留水に溶解して, ウサギの筋肉内に投与したときの最高血清中濃度の平均値は57.2mcg (力価)/ml, 生物学的半減期は1.389時間であった。また, 同量を静脈内に投与したときの生物学的半減期は1.344時間であつた。投与後8時間までの尿中排泄は, 筋肉内投与では静脈内投与にくらべ約2時間程度遅れるようであつたが, 排泄率はそれぞれ75.4%, 75.8%と, ほとんど同じであつた。
    以上のことから, DKBは体内に分布したのちは, 投与経路が異なつても同一の挙動を示すものと考えられた。
    (2) DKB 20mg (力師)/kgをイヌの筋肉内に投与したときの最高血清中濃度は約58.6mcg (力価)/ml, 生物学的半減期は約1.477時間, また全分布容積は0.264L/kgであつた。注射局所からの拡散速度, または最高血清中濃度発現時間などは, 蒸留水に溶解して投与したばあいと, 注射液として投与したばあいで多少相違がみとめられたが, 比較対照としたGM注射液で, 実験間の相違が同程度にみとめられたことから, 溶媒の相違よりはむしろ, 注入の仕方, または局所筋の生理状態などが大きく影響したものと考えられる。薬剤の特性をよく表現すると考えられる薬動力学的定数の1つである全分布容積Vdは, GM注射液とほとんど同等で, 実験間の差は, イヌの系統差, あるいは性差に起因するものであろう。血液中からの消失速度は, そのような実験間の相違に影響をうけず, GM注射液よりも遅い傾向であつたが, 著るしい相違ではなかつた。また, 投与後10時間までの尿中排泄率は, 約64.0%で, GM注射液のそれと大差はなかつた。
    (3) DKB 50mg (力価)/kgをウキギの筋肉内に投与したばあいの主要臓器中濃度は, 肺においてはGM注射液よりも約2倍高かつたが, 他の臓器においては両者ほとんど同程度の値を示し, 本物質の生体内分布性は, 質的, 量的にGM注射液とほとんど同様であると考えられた。
    (4)以上の結果から, 3', 4'-Dideoxykanamycin Bのウサギおよびイヌにおける生体内動態は, Gentamicinのそれと大差ないものと考えられた。
  • 小松 信彦, 江川 清, 南雲 昇
    1973 年 26 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1973/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    われわれは,Schizophyllum commune(スエヒロタケ) が産生する単純GlucanであるSchizophyllan 1, 2)(以下SPGと略) の生物学的活性について研究を進めているが, SPGは数種の実験的皮下腫瘍にたいして宿主仲介性制癌作用を示すこと, またSPG処理によつて腫瘍が完全退縮したマウスでは, 腫瘍抗原の存在下において顕著なマクロファージ遊走阻止現象がみられることを前に報告した3~5)。今回は, マウスにSPGを投与することによつて, 腹腔浸出細胞のLysosome水解酵素の活性が著明に増強することをみとめたので, その結果について報告する。
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