The Japanese Journal of Antibiotics
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Clindamycin-2-palmitateに関する薬理学的研究
河野 静子大西 黎子山中 康光建石 英樹荒谷 春恵
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1973 年 26 巻 4 号 p. 325-333

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抄録

Clindamycinの2の位置にpalmiticacidがester結合しているClindamycin-2-palmitateは, 水に180~275mg/mlの割合でとけ,in vitroでは抗菌作用をしめさないが, in vivoではClindamycinとなつて効果をしめし, それは生体内でとくに腸管内で加水分解され, Clindamycinとなり, したがつて, その体内消長は概して同一傾向であり, 顆粒またはシロップとして内服される新しい抗生物質である。
その薬理作用について, LD50は1, 2), Emulsionの状態では腹腔内適用2,500mg/kg以上 (マウスおよびラット), 経口適用5,000mg/kg以上 (ラット), 顆粒状態では経口適用1,956mg/kg (ラット) である。また, ラットの新生仔と成熟動物との間には, LD50の差はみられない。つぎに, ラットに顆粒100~600mg/kgまたは犬に30~300mg/kgをそれぞれ6カ月間経口適用したさいにも, 臨床的, 組織学的および病理学的にみとむべき変化はなかつたと報告されている。また, 君島ら3) は, 中枢作用について検討し, 極めて中枢作用が少ないと述べている。
著者らは, Clindamycin-2-palmitate入手の機会を得たので, その一般薬理作用を検討し, 以下に述べる成績を得た。さらに先に報告4, 5) したClindamycinのそれらと比較した。

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