The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
26 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 小野 尚子, 大槻 雅子, 中沢 昭三
    1973 年 26 巻 4 号 p. 321-324
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-palmitateは, 米国で小児用シロップ製剤として開発されたClindamycin (CLDM) 誘導体抗生物質である。その分子式は, C34H68O6N2ClS・HCl, 分子量は699.85, 化学名は7-Chloro-7-deoxylincomycin-2-palmitate, HClである。この塩酸塩は水溶性で, 寒天状となる粉末で, 苦味はほとんどない。生体内では, Non-specific esteraseの作用によつてPalmitin酸がはずれ, CLDMとなる。本剤の急性毒性は, 経口, 皮下, 筋注, 腹注い, ずれの経路でも変化なく, マウスとラットのLD50は, >5,000mg/kgといわれている。今回, 私どもの教室においてCLDMを比較薬剤として, 同一条件のもとでClindamycin-2-palmitate (CLDM-palmitate) の細菌学的評価をおこなつたので, その成績について報告する。
  • 河野 静子, 大西 黎子, 山中 康光, 建石 英樹, 荒谷 春恵
    1973 年 26 巻 4 号 p. 325-333
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycinの2の位置にpalmiticacidがester結合しているClindamycin-2-palmitateは, 水に180~275mg/mlの割合でとけ,in vitroでは抗菌作用をしめさないが, in vivoではClindamycinとなつて効果をしめし, それは生体内でとくに腸管内で加水分解され, Clindamycinとなり, したがつて, その体内消長は概して同一傾向であり, 顆粒またはシロップとして内服される新しい抗生物質である。
    その薬理作用について, LD50は1, 2), Emulsionの状態では腹腔内適用2,500mg/kg以上 (マウスおよびラット), 経口適用5,000mg/kg以上 (ラット), 顆粒状態では経口適用1,956mg/kg (ラット) である。また, ラットの新生仔と成熟動物との間には, LD50の差はみられない。つぎに, ラットに顆粒100~600mg/kgまたは犬に30~300mg/kgをそれぞれ6カ月間経口適用したさいにも, 臨床的, 組織学的および病理学的にみとむべき変化はなかつたと報告されている。また, 君島ら3) は, 中枢作用について検討し, 極めて中枢作用が少ないと述べている。
    著者らは, Clindamycin-2-palmitate入手の機会を得たので, その一般薬理作用を検討し, 以下に述べる成績を得た。さらに先に報告4, 5) したClindamycinのそれらと比較した。
  • 南部 春生, 村山 隆志, 児玉 進, 滝本 昌俊, 末広 忠雄
    1973 年 26 巻 4 号 p. 334-338
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1962年, MASON等によつてLincomycinが開発され, 本剤がグラム陽性菌に作用する新しい抗生物質として, その有効性が証明された。さらに1964年, Upjohn研究所1, 2) において7-Chlorolincomycin (Clindamycin, CLDM)(図1) が新しいLincomycinの誘導体としてつくられ, グラム陽性菌に対してはLincomycinに比較して, すぐれた抗菌力をもつており, 本剤の小児科領域における研究3, 4, 5, 6), 臨床成績からみてもその有効性の高いことがうかがわれる。今回, 我々はCIindamycin-2-palmitateを使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 中村 孝, 八森 啓, 杉森 澄子
    1973 年 26 巻 4 号 p. 339-342
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Streptomyces lincolnensisの産生するLyncomycinの誘導体であるClindamycin (7-Chloro1incomycin) は, Macrollde系の抗生物質に似たスペクトルをもつているが, まだ耐性菌の出現が少なく, 感染症に広く応用されている。今回, そのパルミテート化した薬剤Clindamycin-2-palmitate hydrochlorideを得て, 小児科領域における臨床的検討をおこなうことができたので, この薬剤の服用状態, 臨床効果などについてのべてみたい。なお, このClindamycin-2-palmitate hydrochlorideは, 吸収されてのち脱エステル化され, Clindamycin (CLDM) に変るといわれ, 分解は小児においても十分におこなわれているといわれている。
  • 佐藤 肇, 岡 秀, 渡辺 修, 中沢 進, 村田 文也, 吉岡 毅, 根本 はつ, 近岡 秀次郎, 新井 蔵吉
    1973 年 26 巻 4 号 p. 343-349
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycinは, Lincomycinから製作された半合成新誘導体7-Chloro-7-dooxylincomycinで, その特徴とするところは, 抗菌性, 血中ならびに尿中排泄, 諸臓器内分布の点でLincomycinよりすぐれ, 1/2量でほぼ同様の臨床効果の期待される結果が, 第16回日本化学療法学会総会 (1968年5月, 東京) で報告されている。
    私等も, 本剤を使用して小児科領域における基礎的, 臨床的成績について検討し, その概況について報告した1)。
    本剤は現在Dalacinの商品名でカプセル製剤 (75mg, 150mg力価) として市販されている。今回, 年少小児用として服用しやすく製作され, シロップ製剤として使用されるClindamycin-2-palmitateを入手できた機会に, 一連の検討をおこなうことができたので, 現在までの成績概況について以下に報告したいと思う。
  • 堀 誠, 河野 三郎, 青木 義雄
    1973 年 26 巻 4 号 p. 350-355
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-palmitate hydrochlorideは, Clindamycin (CLDM) のパルミチン酸とのエステルで, 水溶性であるが,in vitroでは, そのままの形で微生物に対し不活性である。これを生体に経口的に投与すると, 水解され, 初めて活性のあるCLDMとなる。本剤は, 白色~灰白色の粉末で, これを用に臨んで45mlの蒸溜水を加えてよく混和すれば, その5mlのなかに75mgのCLDM-baseを含有することになり, この液は室温で2週間安定であるが, その間冷蔵庫内に保存するとゲル化するので, そのさいには, 使用に先立つて室温程度に加温しておかなくてはならない1)。
    CLDM-palmitateそのものの抗菌活性は, きわめて低く, そのMICはStaphylococcus aureusでは50~200mcg/ml,Streptococcus hemolyticus 50mcg/ml,S. fecalis50->200mcg/ml,Escherichia coli>200mcg/ml,Proteus vulgaoris>200mcg/ml,Klebsiella pneulnoniae>200mcg/mlという1) が, これが体内に吸収されCLDM-baseの形となれば,S. aureusには0.05-0.2mcg/ml,St. pyogenes<0.0125-0.05mcg/ml,St. viridans 0.006-12.5mcg/ml,D. pneumoniae<0.0125-0.05mcg/ml,St. fecalis 0.8-12.5mcg/ml,Hemophilus influenzae 0.8-6.3mcg/mlであるという1)。
    小児にCLDM-palmitateを体重1kgあたり2, 3, 4mg 1回経口投与したばあい, 血中濃度のPeakは約1時間後に1.25~2.5mcg/mlとなつて, 約6時間まで有効血中濃度が保持され, これらの成績にもとついて, 小児に対する本剤の使用は, 1日1kgあたり8~16mgが適当で, この量を4等分して投与すれば, 有効血中濃度が持続的に保持されるばかりでなく, 特異な副作用の出現もみられないという2)。
    私たちは, たまたまCLDM-palmitateの試供をえ, 小児期2, 3の急性感染症に使用する機会をえたので, その成績の大要を報告する。
  • 加藤 宏, 岩井 直一
    1973 年 26 巻 4 号 p. 356-360
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycinは, アップジョンからダラシンカプセルとして商品化され, 次第に広く使用されつつあるが, 今回Clindamycin-2-palmitateが試作された。それはClindamycinそのままでは小児の内服には適当でないことが, 日本化学療法学会で小児科医から指摘され, パルミチン酸を結合させることで小児用内服剤として使用されるよう試みられたわけである。
    母子化学療法研究会を中心にして, 3回にわたつてClindamycin-2-palmitate (以下CLDM-palm. と略す) について討論があり, 我々もその研究に参加したので, その結果を報告する。
    Clindamycin (以下CLDM) での研究で, すでにこの抗生物質が主としてグラム陽性球菌に対して効果があることを知つているので, 我々は上気道感染にCLDM-palm.を使用してみようと考えた。しかし, 上気道感染はウイルスによるものが多く, また, 咽頭や疾から検出された菌がその疾患の起因菌であることを証明することは難しい。そこで, 検出された菌が起因菌に比較的近いであろうと考えられる化膿性扁桃炎を中心にして検討しようと考えた。
  • 伊東 俊一, 川名 嵩久, 水原 春郎
    1973 年 26 巻 4 号 p. 361-364
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    CIindamycin (7-Chloro-7-deoxylincomycin) の猩紅熱を中心としたβ溶連菌感染患児に対する治療成績は, 先に報告したとおりで, Penicillin G (PC-G) 筋注に次ぐ治療効果をみとめた。今回, 剤型をCapsuleからSyrupとしたClindamycin-2-palmitateの供与を受け, 当院小児科において, 猩紅熱患児に対する臨床効果を検討する機会を得たので報告する。
  • 小林 裕, 赤石 強司, 西尾 利一, 小林 陽之助, 小林 祥男
    1973 年 26 巻 4 号 p. 365-376
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗菌力がすぐれ, しかも副作用の少ない狭域抗生剤は, 強力な広域抗生剤とはまた別の意味で, 必要度が高いことはいうまでもない。Lincomycin (LCM) は, この条件に適合する抗生剤の1つではあるが, 経口投与時の吸収が悪く, しかも食餌の影響をうけやすい1, 2)。
    Clindamycin (CLDM) は, LCMの誘導体で8), 完全な交叉耐性はあるが, LCMより試験管内抗菌力が強く2~6), 経口投与時の吸収がすぐれており1~3, 7~13), 食餌とともに内服させてもあまり影響をうけない1, 2) 点で, 期待されるものである。しかし, 従来は, Capsuleしかなく, 乳幼児に対する使用には制限があつた。
    今回, CLDMの誘導体で, 顆粒状で液剤にすることのできるCLDM-2-palmitate (CLDM-palm.) 14) の供与をうけたので, その吸収排泄および臨床効果を検討した。
  • 西村 忠史, 小谷 泰, 浅谷 泰規
    1973 年 26 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1964年Upjohn研究所において, 7-Chlorolincomycin (Clindamycin)(CLDMと略) が新らしくLincomycinの誘導体としてつくられた。これは, グラム陽性菌に対してLincomycinより抗菌力はすぐれ, 吸収面でもより迅速性のあることが証明された。Clindamycinについては, 第16回日本化学療法学会総会シンポジウムで基礎的, 臨床的成績が発表され, 有効薬剤としての評価がなされた1)。著者らも, CLDMの臨床検討をおこない, 臨床効果と使用量について報告した2)。しかし, CLDMは剤形から, その使用が年長児に限られ, 幼若小児にも内服の容易な剤形が望まれていた。Clindamycin-2-palmitate・HClは, CLDMのパルミチン酸エステルで,in vitroではほとんど抗菌力を示さないが,in vivoでは加水分解をうけ, CLDMが抗菌力を示すようになる。
    今回, 著者らは, 小児気道感染症に対して本剤を使用し, 多少の基礎的検討をおこなつたので, その成績について述べる。
  • 石山 俊次, 中山 一誠, 岩本 英男, 岩井 重富, 鷹取 睦美, 川辺 隆道, 坂田 育弘, 夏野 忿, 秋枝 洋三
    1973 年 26 巻 4 号 p. 381-388
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-palmitate (CLDM palm.) は, 米国アップジョン中央研究所において, ClindamycinにPalmitin酸をエステル結合させ, シロップ製剤として開発したものである (Fig. 1)。CLDM-palm. 自体は, わずかに抗菌力をもつにすぎないが, 生体内に入るとNon-specific esteraseによつてエステル結合がはずれ, Clindamycinとなる。さらに, Clindamycinは生体内で代謝され, その生体内代謝物質として, 抗菌活性のある2つの物質, N-Domethyl-clindamycin (N-DCLDM) とClindamycin-sulfbxide (CLDM-Sulf.) を生じ (Fig. 2), その抗菌スペクトラムは, グラム陽性菌に対しては, CLDMとN-D-CLDMはほぼ同等の抗菌力を示し, CLDM-Sulf. との比較では, CLDMが約7~10倍抗菌力が優れている。われわれは, 臨床応用に必要な基礎的検討と臨床使用をおこなった。
  • 柴田 清人, 伊藤 忠夫, 藤井 修照, 品川 長夫, 西 秀樹, 村松 泰
    1973 年 26 巻 4 号 p. 389-392
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-palmitateは,in vitroではグラム陽性球菌に対しinactiveであるが,in vivoではそのEsterが加水分解され, activeのClindamycin baseとして作用するといわれる。我々も本剤について下記の外科領域における基礎的, 臨床的検討を試みたので, 報告する。
  • 岩沢 武彦
    1973 年 26 巻 4 号 p. 393-399
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    上気道感染症に対する化学療法は, 起炎菌がグラム陰性菌であるばあいを除外すれば, 諸種薬剤に対して強い抵抗性を示す耐性ブドウ球菌による感染症の治療対策がもつとも問題視されている。
    Clindamycin (以下, CLDMと略) は, 米国Upjohn社研究陣によつてLincomycin (以下, LCMと略) の7位のOH基をClで置換した7-Chlorolincomycinとしてもつとも強力な抗耐性ブドウ球菌性新抗生物質として登場をみた。著者は, すでに本剤の細菌学的, 吸収, 分布および排泄などの基礎的問題および臨床的使用成績について発表した。このたび, Upjohn社によつて, 乳幼児に対して投与が便利なCLDM-palmitateが製品化され, 臨床応用が試み始められた。
    著者は, 今回本剤に関して, その抗菌力, 血中濃度および組織内移行などの基礎的検討をおこなうと同時に, 耳鼻咽喉科領域における代表的な感染症に対して臨床投与をおこなった結果, きわめて良好な治療成績をおさめえたので, その概要を報告する。
  • 高須 照男, 馬場 駿吉, 間宮 敦, 本堂 潤, 和田 健二, 波多野 努
    1973 年 26 巻 4 号 p. 400-403
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回私達は, Upjohn研究所が開発したClindamycin-2-palmitateについて, 基礎的ならびに臨床的検討をおこなったので報告する。
  • 徳田 久弥, 葉田 野博, 萱場 忠一郎
    1973 年 26 巻 4 号 p. 404-408
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今回登場したクリンダマイシン・パルミテート (以下, CLDM-palm. と略) は, クリンダマイシンの幼小児用として開発されたもので, 体内に入るとパルミテートが分離され, クリンダマイシンとして抗菌作用を発揮することが知られている。今回われわれは, 本剤について, 基礎的なことを検討しながら, 主に臨床面から検討したので, その成績を報告する。
  • 三国 政吉, 大石 正夫, 今井 正雄, 高橋 篁子, 田中 幹人
    1973 年 26 巻 4 号 p. 409-414
    発行日: 1973/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin (以下CLDM) は, アメリカUpjohn研究所で開発されたLincomycin (以下LCM) の新らしい誘導体である。抗菌スペクトルは, LCM同様, グラム陽性球菌主体であるが, 抗菌力においては数倍まさり, 吸収, 排泄においても良好なことが知られている。
    Clindamycin-2-palmitate (以下CLDM-palm.) はCLDMとPalmitic acidのエステルで,in vitroでは, ほとんど抗菌力はみられないが,in vivoで加水分解されてCLDMになり, 抗菌力を発揮する。この水溶性CLDM palm. は, CLDMの苦味がないため, Syrup剤として小児に内服させるのに好都合な薬剤である。
    この度, 私共は本剤の眼科的応用に関し, 2, 3の基礎的実験をおこない, また小児の眼感染症に本剤を用いてみる機会を得たので, 以下にその成績を報告する。
feedback
Top