The Japanese Journal of Antibiotics
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複雑性尿路感染症に対するAmpicillin・Dicloxacillin合剤 (HI-56) とAmpicillinとの比較
田中 健嗣広瀬 建堀 建夫桜木 勉金武 洋徳永 毅小川 暢也
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1974 年 27 巻 4 号 p. 497-510

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抄録

泌尿器科領域の感染症のうち, なにか基疾患または合併症をもつ複雑性尿路感染症では, 化学療法に強く抵抗し, 治療がきわめて困難なばあいが多い. その治療に当つては, 基疾患の除去が原則であるが, 最近は化学療法自体の改善や投与法の検討によつて効果を上げつつある. 泌尿器科領域で現時点で好んで用いられている抗生剤は, Ampicillin (以下AB-PC) およびセファロスポリン誘導体等であるが, 耐性菌の頻度の増加によつて, 多くの困難を加えつつある. AB-PCに対する耐性出現のメカニズムについては, いくつかの説があるが, 耐性菌のもつβ-ラクタマーゼによつてAB-PCが加水分解されるとする説が有力である1, 2).
この度, われわれは, 東洋醸造株式会社から提供されたβ-ラクタマーゼ阻害剤であるIsoxazolyl系半合成ペニシリンのDicloxacillin2~4)1に対し, AB-PC2の割合で配合した製剤と, 本合剤に配合されたAB-PCの2倍量のAB-PCとを二重盲検下に比較し, 興味ある成績を得たので報告する.

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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