The Japanese Journal of Antibiotics
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27 巻, 4 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 黒川 一男, 藤村 宣夫, 横田 武彦
    1974 年 27 巻 4 号 p. 429-433
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    梅沢浜夫博士らによつて明らかにされたアミノ配糖体抗生物質の耐性機転にもとついて, この耐性化を阻止する構造 (カナマイシンの特定のアミノ基をアシル化することによつて耐性菌の産生する不活化酵素の作用を阻害する) をもつた, カナマイシンの新らしい誘導体で, ブリストル万有研究所にて開発されたAmikacin (BB-K8, 万有製薬株式会社提供) を泌尿器科領域の各種感染症に使用する機会を得たので, それらの臨床成績を報告する.
  • 青河 寛次, 皆川 正雄, 古田 典夫, 山路 邦彦, 杉山 陽子
    1974 年 27 巻 4 号 p. 434-437
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしいAminoglycoside系抗生物質であるAmikacin (BB-K8) の臨床意義を明らかにするため, その抗菌作用, 体内移行, 臨床成績を検討したので, 報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 渡辺 修, 藤井 尚道, 岡 秀, 近岡 秀次郎, 平間 裕一
    1974 年 27 巻 4 号 p. 438-445
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aminoglycoside系新抗生剤BB-K8は, Kanamycinからの合成誘導体であり, Bristol-Banyu研究所において開発されたものである. 本剤は, Kanamycin耐性ブドウ球菌や, Pseudomonas, Klebsiella等に対しても抗菌力をもつ点が特徴の1っとされ, その投与法は, 現在のところ, 主として筋注によつておこなわれる1, 2) .
    今回, 本剤を使用しての小児科領域における一連の基礎的, 臨床的検討をおこなうことができたので, 今日までの成果について以下報告したいと思う.
  • 河野 通昭, 入交 清博, 樋口 佑次, 内山 知子, 螺良 英郎
    1974 年 27 巻 4 号 p. 446-450
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (BB-K8) は, アミノ配糖体抗生物質で, KMの耐性機転の研究から開発され, 他のアミノ配糖体抗生物質に対する耐性菌にも交叉耐性を示さないことが明らかにされ, また, その後の研究から, 変形菌, クレブジエラ, 緑膿菌にも強い抗菌作用を示すことが報告されている.
    われわれは, BB-K8を呼吸器感染症計14例に投与し, 臨床効果について検討した. また, 臨床材料からの分離菌のBB-K8に対する感受性を測定した.
  • 葉田 野博, 徳田 久弥, 萱場 忠一郎
    1974 年 27 巻 4 号 p. 451-455
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (BB-K8) は, Kanamycin Aから誘導された新らしいアミノ配糖体抗生物質である. 本剤の特長は, ブドウ球菌, グラム陰性桿菌に対して強い抗菌力をもち, 他のアミノ配糖体抗生物質耐性菌に対しても効果があり, 特に変形菌や緑膿菌に高い感受性をもつことである。われわれは, 眼感染症に本剤を使用し, その効果を検討したので, ここに基礎的な検討を加えその成績について報告する。
  • YASUHIRO MINE, SHIGEO NONOYAMA, MINORU NISHIDA, SACHIKO GOTO, SHOGO KU ...
    1974 年 27 巻 4 号 p. 456-462
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bicyclomycin was studied for its antigenicity and cross-reactivity with benzylpenicillin. This antibiotic was bound covalently to protein under weakly alkaline conditions. Bicyclomycin or protein conjugates produced antibodies specific to this antibiotic when injected into rabbits, guinea pigs or monkeys as shown by passive hemagglutination, hemagglutination inhibition tests, quantitative precipitin inhibition, and passive cutaneous anaphylaxis. However, no hemagglutinating antibodies were produced in rabbits after continued administration of bicyclomycin by the oral route. There was no cross-reactivity between bicyclomycin and benzylpenicillin by passive hemagglutination or inhibition tests, quantitative precipitin inhibition, and passive cutaneous anaphylaxis reaction.
    Bicyclomycin is a new antibiotic active against gram-negative bacilli. The chemical structure, antimicrobial activity and other properties of this antibiotic have been described1. 2.3.4). The present paper deals with its antigenic activity, production of circulating antibodies in experimental animals, and study of elicitation its cross-reactivity with benzylpenicillin.
  • IN VITRO ANTIBACTERIAL ACTIVITY OF TUM-N ON TUBERCLE BACILLI ISOLATED FROM PATIENTS
    TATSUNORI SHIMIZU
    1974 年 27 巻 4 号 p. 463-470
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tuberactinomycin-N (TUM-N) is an antibiotic isolated from the culture filtrate of Streptomyces griseoverticillotus var. tuberactius N 6-130 by ANDO et al. of Toyo Jozo Co., Ltd. A report has been published1) to demonstrate its remarkable antibiotic activity against tubercle bacilli and to prove the therapeutic effect equivalent to that of viomycin (VM) in experimental tuberculosis of mice and guinea pigs2). Its ototoxicity was reported to be lower than that of VM, capreomycin (CPM) and kanamycin (KM) in its study on guinea pigs3). Its clinical effect was studied in the cases resistant to the conventional anti-tuberculous drugs and found that TUM-N is effective and has little side effect4, 5).
    The author presents in this paper the test results obtained from his observation of the in vitro antibacterial activity of TUM-N and other conventional antituberculous drugs against 100 strains of tubercle bacilli isolated from the patients who had never been submitted to TUM-N treatment.
  • 小野田 洋一, 常松 之典, 亀井 喜世子
    1974 年 27 巻 4 号 p. 471-474
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lividomycin (LVDM) は, 名古屋地方の土壌から分離されたStreptomyces lividus n. sp. ATCC 21178が産生する新らしいアミノ配糖体系の抗生物質で, すでに筋肉内注射剤が, 各種疾患の治療薬として試用されている. LVDMの硫酸塩は, 白色, 無晶形の粉末で, 水に易溶性である. グラム陽性菌, グラム陰性桿菌および結核菌などに対して抗菌性をもち, 緑膿菌に対しても強い抗菌力を示している.
    LVDMの硫酸塩については, その化学構造が判明し, 遊離塩基は761. 784の分子量をもつことも知られている. この化学構造は, Kanamycin (KM) にやや似ている.
    アミノ配糖体系抗生物質は, すべて副作用として聴器障害をおこすことがあるとされているが, その作用が弱いとされているLVDMも, 条件によつては聴器障害をおこすことのある抗生物質と考えたほうが無難である.
    今回, これを用いて淋病の治療をおこない, 臨床的効果をみた機会に, 現在まであまり系統的におこなわれていない淋菌に対する抗菌性についても, 基礎的に検討することができたので, これらの結果についても報告する.
  • 金沢 裕, 倉又 利夫
    1974 年 27 巻 4 号 p. 475-480
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Yersinia enterocoliticaは, 多彩な臨床症状を伴なう腸管感染症として, 最近注目をあびている. 本菌の検査法が一般化されるにつれて, その臨床例は今後さらに増加するものと推定される. Escherichia coli, Shigella, Salmonellaなどの腸内細菌の薬剤耐性は, その多くが伝達性のR因子によることが明らかにされている. したがつて, Y. enterocoliticaについても, その薬剤耐性がR因子によつて支配される可能性があるかを検討することは, 細菌学的にも臨床的にも, きわめて有意と考えられる. GINOZA1) (1963) は, E. coliからYersinia (Pasteurella) pestis, またはYersinia (Pasteurella) pseudotuberculosisへR因子によつて耐性が伝達されることを明らかにしたが, Y. enterocoliticaについての報告はみられなかつた. 金沢2, 3)らはこの点について検討し, R因子保有E. coliからY. enterocoliticaに多剤耐性が伝達し, また耐性化したY. enterocoliticaから2次伝達で感性E. coliに耐性が伝達し, したがつて, Y. enterocoliticaもR因子宿主菌となりうることを報告した. ついで水野4)らも, 多剤耐性Salmonella, ShigellaからR因子がY. enterocoliticaへ伝達することを報告した. 著者らは, 前記実験の成績に加えて, さらに自然界分離のY. enterocolitica薬剤耐性に対するR因子の関与についても, 2~3の検討をおこなつたので報告する.
  • 家兎における血中濃度と体内分布について
    松本 慶蔵, 宇塚 良夫, 梅沢 巌, 小宮山 寛機, 守野 豊彦, 竹嶋 秀雄
    1974 年 27 巻 4 号 p. 481-484
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    半合成ペニシリンの1員であるAmpicillin (Aminobenzyl penicillin) は, 広範囲な抗菌スペクトラムをもち, 多種感染症の治療に多用されている抗生物質である. 従来, Ampicillinの筋注用製剤としては, 水溶性のAmplcilllnsodiumが用いられているが, 溶解後の水溶液の安全性がきわめて悪く, しかも注射時の疹痛, 有効典中濃度の持続時間が比較的短いという製剤上の欠点をもつている. 今回これらの欠点を改良したAmpicillintrihydrateの筋注用懸濁水性製剤を入手する機会を得たので, 在来の注射用Ampicillin sodium製剤との比較を目的とし家兎を用いて血中濃度および体内分布推移を指標として検討し, 興味ある知見を得たので報告する.
  • マウスおよびラットにおける感染防禦効果について
    横井山 繁行, 鳥屋 実, 安藤 拓司, 松本 慶蔵
    1974 年 27 巻 4 号 p. 485-489
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    広範囲の抗菌スペクトラムをもつ半合成ペニシリンであるAmillobenzy1-penicillin (AB-PC) の筋注時における血中濃度の持続性改良を目的として開発されたAB-PC用時懸濁水性剤 (AB-PC Sol) の動物における生体内動態等の基礎的検討成績についてはすでに報告した1, 2). AB-PC Solは, 水溶性製剤である注射用アンピシリンナトリウム (AB-PC Na) と比較して, イヌ, ウサギ, ラットなどにおける生体内での持続は著るしく優れた結果が得られた. しかし, マウスを用いた感染治療実験では, AB-PC Naと同等の成績であり, 両剤間の差がみられなかつた. その理由として, マウス個体当りの投与薬剤量がきわめて少量のため, AB-PC Solをかなり低濃度まで希釈して投与したために, 注射後直ちに血液その他の体液に溶解し, 血中濃度の持続性の特徴が発揮されなかつたものと推測された.
    そこで, 本製剤の実際の臨床的使用における生体内動態にできるだけ近い状態を動物において再現できれば, 実験的感染に対する効果も差を示すものと予測し, 今回はAB-PC SolおよびAB-PC Na両剤投与時の血中濃度パターンに差のみられるラットを用いた試験系, およびマウスで局所に大量の薬剤投与をおこない感染菌としてAB-PC耐性菌を組み合わせた試験系を使用してAB-PC Solの感染防禦効果をAB-PC Naと比較検討し, 興味ある知見を得たので, その成績を報告する.
  • 伊藤 章, 児玉 文夫, 神代 明雄, 小田切 繁樹, 福島 孝吉
    1974 年 27 巻 4 号 p. 490-493
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    HI-56は, 広範囲合成ペニシリンであるアンピシリン (AB-PC) と, 耐性ブドウ球菌用合成ペニシリンであるジクロキサシリン (MDI-PC) を2: 1の比率で配合した複合広範囲抗生物質であり, 耐性ブドウ球菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌に抗菌力をもち, 起炎菌不明の重症感染症および混合感染症にも治療効果が期待されている.
    我々は今回, 本剤を臨床的に使用する機会を得, 基礎的検討もおこなつたので, それらの成績について報告する.
  • 青河 寛次, 山路 邦彦, 杉山 陽子
    1974 年 27 巻 4 号 p. 494-496
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Isoxazolyl系の半合成ペニシリンがβ-ラクタマーゼ阻害作用を示すことかち, AmpicillinとDicloxacillinは協力作用を呈すばあいが証明1, 7, 8)されている. われわれは, AmpicillinとDicloxacillinの合剤 (2: 1) であるHI-56内服時のヒト体内移行を検討し, 上記の協力作用のひとつを推定しえたので報告する.
  • 田中 健嗣, 広瀬 建, 堀 建夫, 桜木 勉, 金武 洋, 徳永 毅, 小川 暢也
    1974 年 27 巻 4 号 p. 497-510
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域の感染症のうち, なにか基疾患または合併症をもつ複雑性尿路感染症では, 化学療法に強く抵抗し, 治療がきわめて困難なばあいが多い. その治療に当つては, 基疾患の除去が原則であるが, 最近は化学療法自体の改善や投与法の検討によつて効果を上げつつある. 泌尿器科領域で現時点で好んで用いられている抗生剤は, Ampicillin (以下AB-PC) およびセファロスポリン誘導体等であるが, 耐性菌の頻度の増加によつて, 多くの困難を加えつつある. AB-PCに対する耐性出現のメカニズムについては, いくつかの説があるが, 耐性菌のもつβ-ラクタマーゼによつてAB-PCが加水分解されるとする説が有力である1, 2).
    この度, われわれは, 東洋醸造株式会社から提供されたβ-ラクタマーゼ阻害剤であるIsoxazolyl系半合成ペニシリンのDicloxacillin2~4)1に対し, AB-PC2の割合で配合した製剤と, 本合剤に配合されたAB-PCの2倍量のAB-PCとを二重盲検下に比較し, 興味ある成績を得たので報告する.
  • 一之沢 昭夫, 越智 規夫
    1974 年 27 巻 4 号 p. 511-516
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    種々の合成ペニシリンのうち, Ampicillin (AB-PC) は広域スペクトルをもつが, ブドウ球菌, 大腸菌, 変形菌, 肺炎桿菌などの耐性菌の分離頻度も増加傾向にあり, 緑膿菌, Cloacaなどには元来無効であるとされる. これらは, ペニシリンを加水分解するβ-ラクタマーゼをもつためであり, Isoxazolyl系の合成ペニシリンDicloxa Cillin (MDI-PC) がこの酵素作用を阻害することが報告されている. そこで, この性質を利用し, 両者の合剤が感染実験に試みられた結果, この合剤が感染防禦に対して相乗的作用をもつことがみとめられている1, 2, 3).
    一方, 呼吸器感染の分野においても, 抗生剤を使用する機会は多いが, 最近はグラム陰性桿菌の感染が増加している4, 5) ため, 広域スパクトルをもつ強力な薬剤の投与を要するばあいがある. 呼吸器感染のうちで, 重要なものの1つに, 慢性呼吸器疾患, 特に慢性閉塞性呼吸器疾患 (Chronic obstructive lung disease: COLD) の急性増悪があり, 血液ガス所見の悪化による呼吸不全状態を惹起して, 最悪のばあいにはCO2 narcosisを招来するなどの点から, これらに対する早期の対策を必要とし, このさい適切な抗生剤の選択を迫られることになる.
    今回, 東洋醸造株式会社からAB-PCとMDI-PCの合剤 (HI-56) の提供をうけ, 呼吸器感染に使用する機会を得たので, 慢性閉塞性呼吸器疾患で経過を追つている患者の中から適応と考えられる症例を選んで, AB-PCを対照薬として, 2重盲検法で比較検討したので, 報告する.
  • 中内 浩二, 島田 馨
    1974 年 27 巻 4 号 p. 517-521
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin (AB-PC) とDicloxacillin sodium (MDI-PC) の合剤であるHI-56 (東洋醸造) は, AB-PC耐性のブドウ球菌にも有効であるばかりでなく, 特にMDI-PCのPenicillinase阻害作用によつて, また, 菌株によつては両剤の相乗作用によつて, AB-PC耐性Gram陰性桿菌にも効果が期待されるという1). また, 経口投与後の尿のクロマトグラフィー一によつて, AB-PCとMDI-PCが高濃度に検出確認されたことから, とくに尿路感染症に対して高い有効性が期待されるともいう2). このたび, HI-56を使用し得る機会を得たので, 難治性と考えられる老人の複雑性慢性尿路感染症に対して, その菌株, 感受性に関係なしに投与してみたので, その成績を報告する.
  • 小栗 豊子, 小酒井 望
    1974 年 27 巻 4 号 p. 522-525
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, 耐性菌による難治感染症の治療に化学療法剤の大量投与に関する研究が注目されてきた. Sulbenicillin (SB-PC) は, わが国で開発された広域合成ペニシリンで, 使用されはじめてまだ日が浅いが, その抗菌スペクトルはグラム陽性菌ばかりでなく, 緑膿菌等のグラム陰性桿菌に対して強い抗菌作用をもち, 大量投与が可能な薬剤であることから, これらの耐性菌による難治感染症の治療に適している薬剤といえよう.
    一方, 現在わが国においておこなわれているディスク法による薬剤感受性検査は, 最小発育阻止濃度 (MIC) 100mcg/ml以下の菌株についての感性度を大まかに表現するものであり, 大量投与による臨床効果の予測のためには, さらに検討の余地があるものと思われる.
    近頃, 私共は, SB-PCはじめ大量療法の可能性の考えられる数種類の薬剤については, 1,600mcg/mlを最高濃度としてMICを測定している. こうしてみると, 100mcg/mlでは発育が阻止されなくとも, 1,600mcg/ml以下で発育を阻止されるばあいが菌種, 薬剤の種類によつては, かなりみとめられることが明らかになつた1). SBPCは, 尿中に高濃度に排泄されるし, 尿路感染の原因菌としては, このような大きいMICを示すグラム陰性桿菌が高頻度を占めている. そこで私共は, グラム陰性桿菌のSB-PC耐性株 (MICは25mcg/ml以上) を用いて, 主として尿路感染症におけるSB-PC大量療法のディスク法による感受性検査の資料とすることを目的として, 以下の実験をおこなつた.
  • TATSUNORI SHIMIZU
    1974 年 27 巻 4 号 p. 526-531
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxycillin, a new broad-spectrum semi-synthetic penicillin developed by the Beecham Research Laboratories is quite similar in antibacterial spectrum to ampicillin1, 2, 3). The chemical structure of amoxycillin is shown in Fig. 1. Laboratory and clinical studies have reported that amoxycillin is well absorbed orally and that the serum levels of amoxycillin are higher than those of ampicillin4, 5.6).
    In this experiment the author performed the laboratory evaluation of amoxycillin and reports here the results.
  • 第7報イヌに経口投与したときの蓄積性につい
    立花 章男, 小宮 正行, 佐渡 卓朗, 矢野 邦一郎
    1974 年 27 巻 4 号 p. 532-538
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Josamycin propionate1) (プロピオン酸ジョサマイシン) を連続投与したときの影響について検討するため, イヌに200mg/kg/day3週間経口投与し, 血漿中濃度, 臓器内濃度, 尿中排泄量および尿中代謝産物のパターンを検討したので報告する.
  • 第8報薬理学的検討その2
    高木 徳一, 野崎 順久, 立川 四郎, 臼田 真治
    1974 年 27 巻 4 号 p. 539-548
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Josamycin propionateは, 当研究所でJosamycinから合成された苦味のない誘導体で, シロップ剤として開発されたものである. その主な一般薬理作用に関しては, すでに報告した1)が, 今回その他2, 3の作用につき検討したので, その成績を報告する.
  • 山岸 稔, 小島 邦彦
    1974 年 27 巻 4 号 p. 549-555
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カナマイシンR因子耐性菌, 耐性ブドウ球菌, 抵抗性緑膿菌などは, その多くが, カナマイシンの3'-OHをATPから燐酸化する酵素を, 産生しているといわれる. カナマイシンがこの酵素と結合するのは, 緑膿菌からの精製酵素について構造特異性をしらべた結果では, 2'-OH, 3, -OH, 6'-NH2, 1-NH2, 3-NH2においてであり, したがつて, その結合基の1-2個を修飾するか, あるいは燐酸化されるOHを除去すれば, 耐性菌に有効な物質が得られるわけである.
    このようにして, 3', 4'-Dideoxykanamycin B (DKB) が合成されたが, この薬剤 (明治製菓製) の効果と毒性に関しては, in vitroおよびin vivoにおける基礎研究の好ましい諸結果が, すでに数多く報告されている.この薬剤の臨床的評価に対して私共も, 小児例に投与する経験をもつたので, 以下その成績をまとめたい.
  • 松村 敏之, 安藤 拓司, 斎藤 哲
    1974 年 27 巻 4 号 p. 556-565
    発行日: 1974/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    HI-56は, アンピシリン (AB-PC) とジクロキサシリン (MDI-PC) を2: 1の比率で配合した複合広範囲抗生物質である. 元来, AB-PCはペニシリナーゼ感性のため, 黄色ブドウ球菌では耐性菌の出現率が高く, Klebsiella, Enterobacterや一部Proteusには無効であるが, これら耐性菌はβ-ラクタマーゼを産生してペニシリンを加水分解して不活性化することが知られている. そこで, ジクロキサシリンがもつβ-ラクタマーゼ活性阻害作用を利用し, 両者を併用することによつて, 抗菌スペクトラムの拡大だけでなく, AB-PC耐性菌に対するAB-PC抗菌力の相乗的効果を期待した製剤である.
    今回, 本剤を試用する機会を得たので, その成績を報告する.
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