The Japanese Journal of Antibiotics
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Cephalothin(CET)の中枢神経系におよぼす影響
イヌによる解析
山本 研一内海 静雄沢田 亨内藤 行雄吉村 弘二越田 光広野 悟原田 喜男中野 瞭中谷 佳子河合 尚子吉田 正亀田 康雄中清水 弘
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1975 年 28 巻 2 号 p. 249-264

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抄録
3-(Hydromethy1)-8-oxo-7-[2-(2-thieny1)-acetamide]-5-thia-azabicyclo [4, 2, 0]oct-2-ene-2-carboxylic acid acetateのsodium salt (Cephalothin sodium) は, Eli Lilly社研究所において開発された広範囲の抗菌スペクトラムをもつセファロスポリン系の化合物で, その注射用製剤は右記の構造式をもつ (Fig.1)。
Cephalothin (以下CETと略記) は, 現在臨床的に成人1人当り6g/day (体重50kgのヒトに換算して120mg/kg) の割合で使用されているが, さらに投与量を12g/day (240mg/kg) に増量するための安全性確認を今回の実験目的とする。SANDERSら1)(1974) の報告によれば, CETやCephapirinをヒトに1日当り0.5g, 1g, 2g, 4g, 8gと漸増的に5日間連続投与すると数日後, 全例に脱力感, 関節痛, 発熱, 悪心嘔吐などの副作用が発現した。このため, 林ら2) はイヌ (Beagle犬) にCET500~6,000mg/kgを単回または連日1カ月間, 静脈内注射をおこなつたところ, 1,000mg/kgの用量で流涙, 下痢などの自律機能の変化, さらに6,000mg/kgの単回注射例および3,000mg/kgの連日注射例では痙攣発作を伴なつた死亡例が現われ, 剖検によつて脳に浮腫と出血がみとめられた。さらに, これらの副作用の発現には, 用量ばかりでなく注射速度も影響することが判明した。このため, CETの最大耐容量の投与において発現する副作用の詳細な検討と副作用発現に至る用量と注射速度との相互関係を調べるため,
(1) 緩徐 (点滴) に投与しても, 何らかの副作用が発現する用量
(2) 緩徐に投与すれば副作用は現われないが, 急速に注射すると副作用が発現する用量
(3) 急速に注射しても全く副作用が発現しない用量の3点についてイヌによる実験をおこなった。
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