1976 年 29 巻 1 号 p. 69-76
1. S-640PおよびCEXについて, マウスで100mg/kgおよび25mg/kgの経口投与による吸収・排泄をみた。S-640Pの血中ピークは, 30分後で, 濃度は100mglkgで67.4mcg/ml, 25mg/kgで25.8mcg/mlであった。CEXでは, 15分後にピークがみられた。尿中のRecoveryは, 100mg/kgで67.7%, 25mcg/kgで69.5%であった。S-640Pの血中濃度のピークは, CEXと比較し, 100mg/kgではほぼ同様で, 25mg/kgでは20%程度低値であった。S-640Pは,血中持続性がみられ,投与後2時間における血中濃度は,CEXにくらべ約5倍であった。
2. ラットでは, 25, 50, 100, 200, 400, 800および1,600mg/kgの経口投与をおこなった。血中ピークは, 100mg/kg以下は1時間後, 200~1,600mg/kgでは2時間後にみられた。ピーク時の血中濃度は, 25mg/kgで47.2mcg/ml, 400mg/kgで109mcg/mlであり, 1,600mg/kgでは126mcg/mlと, Doseresposeカーブの横ばい傾向がみられた。尿中Recoveryは, 79.9~82.6%であった。ほとんどが6時間後までに排泄された。
3. ラットにおけるin situでの胃腸管吸収実験の結果, 主要吸収部位は, 腸管部と推定された。
4. 臓器内分布については, マウス, ラットともに10mg/kgおよび25mg/kgについておこなった。マウス, ラットともに, 腎に最も高く, 次いでプラズマ中, 肝の順位で, いずれの臓器組織においても, 血中濃度とほぼ平行した経時的推移を示した。