1976 年 29 巻 10 号 p. 939-942
広域性ペニシリン剤は, 近年, 外科領域においても広く用いられている。
今回, 英国ビーチャム社研究所で開発された新らしい合成ペニシリンAmoxicillin (以下, AMPCと略) は, Ampicillin (以下ABPCと略) と類似の構造をもつており, その抗菌力, 抗菌スペクトラムは, ほぼABPCと同じである。しかもAMPCは, 経口投与によって, 吸収が良好で, ABPCの半量で同じ血中濃度が得られるといわれる。
外科的感染症は, 大別すると, 治療上, 軟部組織感染症で代表される外科的手術操作が必要なものと, 手術操作に伴なつて発生する術後感染症に分けられる。
今回, 協和醸酵工業KKから, AMPC (販売名: パセトシン) の提供を受け, 外科領域における軟部組織の感染症に使用し, 以下の成績を得たので報告する。