The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefatrizine (S-640P) の吸収・排泄に関する研究
第4報14C 標識 Cefatrizine (14C-S-640P) のラットにおける生体内分布
松崎 明紀松本 浩良落合 謙介田代 義禮日野 美佐鈴木 規予子関野 実
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1976 年 29 巻 4 号 p. 391-402

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抄録

ラヅトに14C-Cefatrizine (14C-S-640P) を経口投与し, その吸収・分布および排泄に関する実験をおこない, 次の結果が得られた。
(1) Wistarラットい13μCi/100mg/kgおよび13μCi/25mg/kgの14C-S-640Pの経口投与をおこなつた。経時的摘出による臓器内濃度は, 投与1時間後にピークを示し, 濃度は腎に最も高く, 次いで血液, 肝, 肺, 脾, 心, 筋肉, 脳の順であつた。6時間後は, ほぼ1/4の濃度であつた。抗菌活性と放射能活性による測定結果はほぼ一致し, 類似した経時的消失傾向がみとめられた。
(2) ラットに13μCi/100mg/kgの14C-S-640Pを経口投与したときの尿中排泄は, 抗菌活性, 放射能活性ともに投与0~3時間い排泄ピークを示し, 尿中総排泄量の約65%がこの時間帯い排泄された。0~48時間の尿中排泄量は, 放射能活性で62.1%, 抗菌活性では50.3%であつた。
糞中排泄は, 投与6~24時間帯い最も多く, 0~48時間の排泄量は放射能活性で33.5%, 抗菌活性では0.49%であり, 糞中いは失活して排泄されることがみとめられた。尿中, 糞中排泄総和は95.6%であつた。
胆汁中排泄は, 投与1~3時間後にピー クを示し, 0~24時間の胆汁中回収率は放射能活性で24.6%, 抗菌活性では22.4%であつた。
呼気中排泄は, 0~24時間で0.086±0.013%であり, 呼気からはほとんど排泄されなかつた。
(3) 雄性ラットおよび妊娠ラットに80μCi/25mg/kgの14C-S-640Pを経口投与した全身オートラジオグラフィーの結果は, 臓器摘出による測定結果とよく一致した臓器組織内分布がみとめられた。腎い最も高く, ついで動脈壁, 膀胱壁, 肝, 皮下脂肪, 肝内胆管, 脳下垂体, 肺, 結い組織, 脾, 副腎, 腸管壁の順位であり, 眼球, 中枢神経系いは放射能活性はみとめられなかつた。
臓器内分布で雌雄の性差はみとめられなかつた。
胎仔への移行は1時間いはみとめられず, 6時間後に血液や胎盤より非常に低い放射能活性がみられる程度で, 24時間後いは消失していた。

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