The Japanese Journal of Antibiotics
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29 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 佐藤 肇, 渡辺 修, 藤井 尚道, 小島 碩哉, 平山 裕一, 中沢 進, 近岡 秀次郎
    1976 年 29 巻 4 号 p. 351-357
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycin (以下FOMと略記する) 内服を使用しての一連の成果については, 各科領域から報告されているが1), 私等も成人, 小児のSalmonella症, その他の各種下痢症の治療に使用し, その臨床効果について確認してきた。特に, 急性および保菌者をふくむSalmonella症の治療に使用し, 臨床的にも除菌的にも, 従来の各種化学療法剤に比較して有効である成績を報告しておいた2)。
    従来・年少小児用として1.0g中FOM200mg(力価)含有 (FOM-200と略記) のDry syrup製剤が使用されていたが, 症例によつては投与量の関係上, 大量となるため, 投与時多少の困難が感じられていた。今回, 1.0g中FOM400mg (力価) 含有 (FOM-400と略記) のものが製作され, 1回量が少なくなるため服用の面で比較的容易となるようになつた。本剤を使用して一連の基礎的, 臨床的検討をおこなつてみたので, 以下に今日までの概況について報告する。
  • 加藤 康道, 斎藤 玲, 矢嶋 域, 富沢 磨須美, 中山 一朗
    1976 年 29 巻 4 号 p. 358-365
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    細菌感染症の化学療法にさいして, とくに困難を感ずるのは, 大腸菌族の諸菌および類似菌によるグラム陰性桿菌感染例であり, 一般的に重症および難治のばあいが多い。これらに対して多くの化学療法剤が鋭意開発, 改良が進められてはいるが, 今だに臨床的に満足すべきものは少ない。Aminoglycoside諸剤は, 抗菌力は優れているが, 毒性も強く, Tetracycline剤, Chloramphenicolなどは殺菌性が弱く, また投与量の増加による副作用の発現が問題である。Penicillin, Cephalosporin諸剤は, 一般的に上記諸菌に対しては抗菌力は弱く, 比較的良好といわれるCB-PCでも, 2~10mcg/mlのOrderであるが, 毒性はきわめて低く, 1日10g以上の大量を使用しうるから, これによつてMIC値をうわまわる体液濃度を維持することが可能であり, 変形菌, 緑膿菌などによる感染症に対する治療が試みられている。
    Sulbenicillin (SB-PC) も, すでに我々1) を含めて多くの報告にみられるように, 上記の諸菌に対する抗菌力は比較的良好であるため, 大量投与が可能であれば, これらの菌のMIC値をうわまわるだけの体液中濃度を保つことができると考えられる。一方, 動物実験によれば, 1,000~2,000mg/kg程度の大量投与時にも影響がみられず, またヒトに10~20g投与例でも, 特別な副作用はなかつたとされているので, 次のように臨床的にSB-PC大量投与の検討を試みた。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫
    1976 年 29 巻 4 号 p. 366-376
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Yersinia enterocoliticaおよびYersinia pseudotuberculosis感染は, 各種腸管感染症に加え, 敗血症, 関節炎, 結節性紅斑など多彩な臨床症状を呈することがしられており, わが国でも最近本症例が少くないことが明らかにされてきた。本症の治療には, 当然適当な化学療法が最有効であると考えられ, したがつて各種化学療法剤感受性を知り, また耐性菌発現の現状を明らかにすることは, 臨床的にも細菌学的にも重要と考えられる。
    Y. enterocoliticaおよびY. pseudotuberculosisの化学療法剤感受性については, 1967年,NILÉHN1)の28株の主要化学療法剤に対する成績につづいて, HAUSNEROVAら2)のY. enterocolitica多数株についての成績, BOROWSKIら3)のY. pseudotuberculosis12株の各種化学療法剤についての成績などがみられ, われわれ4)もすでに1973年来, Yersiniaの検出につとめ, その化学療法剤感受性についてたびたび検討, 報告4,5,6)してきたが, 今回は被検菌としては, Reference strainに, 最近のヒトおよび動物分離株を加えて, in vitro感受性を, 現在使用可能な各種薬剤を取り上げて一括検討したので, その成績を報告する。
  • 佐藤 肇, 中沢 進, 渡辺 修, 藤井 尚道, 平間 裕一, 岡 秀, 近岡 秀次郎
    1976 年 29 巻 4 号 p. 377-384
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Demethylchlortetracyclineから合成された持続性Tetracycline (TC) 製剤Minocycline (MNC) は, 既にCapsule剤, 年少小児用甘味穎粒剤として広く使用されているのが現況であるが1), 本剤の注射剤についての本邦での検討は, まだ緒についたにすぎないようである。今回, 注射剤を入手した機会に, 小児深部急性呼吸器感染症, 特にMycoplasma性肺炎を中心として2,3の基礎的, 臨床的検討をおこない, 一連の成果を得ることができたので, 以下今日までの概況について報告したいと思う。
  • 前田 太郎
    1976 年 29 巻 4 号 p. 385-390
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法の発展は近年目ざましく, 特に抗生物質の進歩は, FLEMING (1929年) による青カビからのPenicillinの発見を機会に著るしい進歩を遂げ, 今日までに約数千種類の抗生物質が報告されている。そして, そのほとんどが細菌感染症を始めとしてスピロヘータ, リケッチア, 大型ウィルス, 真菌, 一部の原虫感染症に奏効し, さらに悪性腫瘍に効果を示す抗生物質も発見されてきた。しかも現在なお新らしい抗生物質が続々と誕生しつつあり, それらの抗生物質の効力範囲, 細菌の感受性の問題は抗生物質の選択上, きわめて重要であることは論を侯たない。
    今回, 著者は耳鼻咽喉科領域感染症における病巣と細菌叢, 薬剤耐性等を検討するなかで新広域合成ペニシリン製剤Amoxicillinを協和醸酵から提供を受けたので,考察を加えて報告する。
    Amoxicillin(α-Amino-p-hydroxybonzylponicillin, 以下AMPCと略記)は, Ampicillin (以下ABPCと略記) の側鎖のベンゼン核のパラ位に水酸基を導入したもので, その抗菌スペクトラムは, ABPCとほとんど類似しており, 抗菌力は一部の細菌ではABPCよりすぐれ, 速効性があると中沢ら1)は報告している。また, とくに腸管からの吸収が良好で, ABPCと同量の経口投与によつて約2倍の血中濃度が得られ, 食事による影響が少ないことがCROYDON等2) によつて明らかにされた。
  • 第4報14C 標識 Cefatrizine (14C-S-640P) のラットにおける生体内分布
    松崎 明紀, 松本 浩良, 落合 謙介, 田代 義禮, 日野 美佐, 鈴木 規予子, 関野 実
    1976 年 29 巻 4 号 p. 391-402
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ラヅトに14C-Cefatrizine (14C-S-640P) を経口投与し, その吸収・分布および排泄に関する実験をおこない, 次の結果が得られた。
    (1) Wistarラットい13μCi/100mg/kgおよび13μCi/25mg/kgの14C-S-640Pの経口投与をおこなつた。経時的摘出による臓器内濃度は, 投与1時間後にピークを示し, 濃度は腎に最も高く, 次いで血液, 肝, 肺, 脾, 心, 筋肉, 脳の順であつた。6時間後は, ほぼ1/4の濃度であつた。抗菌活性と放射能活性による測定結果はほぼ一致し, 類似した経時的消失傾向がみとめられた。
    (2) ラットに13μCi/100mg/kgの14C-S-640Pを経口投与したときの尿中排泄は, 抗菌活性, 放射能活性ともに投与0~3時間い排泄ピークを示し, 尿中総排泄量の約65%がこの時間帯い排泄された。0~48時間の尿中排泄量は, 放射能活性で62.1%, 抗菌活性では50.3%であつた。
    糞中排泄は, 投与6~24時間帯い最も多く, 0~48時間の排泄量は放射能活性で33.5%, 抗菌活性では0.49%であり, 糞中いは失活して排泄されることがみとめられた。尿中, 糞中排泄総和は95.6%であつた。
    胆汁中排泄は, 投与1~3時間後にピー クを示し, 0~24時間の胆汁中回収率は放射能活性で24.6%, 抗菌活性では22.4%であつた。
    呼気中排泄は, 0~24時間で0.086±0.013%であり, 呼気からはほとんど排泄されなかつた。
    (3) 雄性ラットおよび妊娠ラットに80μCi/25mg/kgの14C-S-640Pを経口投与した全身オートラジオグラフィーの結果は, 臓器摘出による測定結果とよく一致した臓器組織内分布がみとめられた。腎い最も高く, ついで動脈壁, 膀胱壁, 肝, 皮下脂肪, 肝内胆管, 脳下垂体, 肺, 結い組織, 脾, 副腎, 腸管壁の順位であり, 眼球, 中枢神経系いは放射能活性はみとめられなかつた。
    臓器内分布で雌雄の性差はみとめられなかつた。
    胎仔への移行は1時間いはみとめられず, 6時間後に血液や胎盤より非常に低い放射能活性がみられる程度で, 24時間後いは消失していた。
  • 松崎 明紀, 小野寺 邦介, 岡崎 勲, 岸本 勝次, 中島 彰, 秋間 哲夫, 立田 由紀子, 錦辺 優
    1976 年 29 巻 4 号 p. 403-418
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fusaric acidは, 1934年に藪田等1)によつて微生物の生産する抗菌性物質 (稲の馬鹿苗病菌Gibberella fujikuroiの代謝産物) として既に発表されている物質である。その後, 1970年に日高, 梅沢等2,8) によつてDopamine β-hydroxylaseの阻害作用がin vitroで発見され, 関連誘導体5-Alkylpicolinic acidとともにその酵素阻害作用および降圧作用に関する研究がなされている4)。著者等は, 医薬品としての有効性, 安全性の見地から, これらの研究の一環としてここではFusaric acid (以下FAと略す)の一般薬理作用について実験をおこない, 以下に記述するような成績を得たので報告する。
  • 松崎 明紀, 小野寺 邦介, 中島 彰, 亀井 栄一, 越野 充, 秋間 哲夫, 立田 由紀子
    1976 年 29 巻 4 号 p. 419-429
    発行日: 1976/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fusaric acidは, 化学名5-Butylpicolinic acidで, Dopamine β-hydroxylase阻害作用をもち, 血圧降下作用がみとめられている1,2)。前報において著者等は, 中枢作用, 平滑筋作用, 骨格筋作用その他の薬理作用について報告した3)。本報では, Fusaric acidの心臓および血管系に対する作用について検討をおこない, 下記の成績を得たので報告する。
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