1977 年 30 巻 10 号 p. 819-824
Cephalexin (CEX) は, すでに強力な抗生物質として広く感染症に使用されている。CEXは, 経口投与では吸収力が良好で, 血中濃度は速やかに上昇する。しかしながら排泄が早く, 投与後1~3時間でその血中濃度はピークに達するが, 8時間後にはほとんど血中から消失する。したがつて, 薬効を維持するためには, 1日4回投与が必要であつた。
S-6436は,従来のCEXに製剤学的工夫を加え, 血中濃度の持続時間を延長するように改良され, 主成分はCEXのままで, 1日2回の投与で12時間の有効性が期待される薬剤である。われわれは今回, 塩野義製薬株式会社から本剤の提供を受け, 尿路感染症例に使用して臨床的に検討し, 知見を得たので, その結果を報告する。