The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 10 号
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  • 山本 俊幸, 岡田 和彦, 春日井 将夫, 加藤 政仁, 菅 栄, 永坂 博彦, 武内 俊彦, 北浦 三郎
    1977 年 30 巻 10 号 p. 763-769
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefatrizine (以下CFTと略す) は, 米国ブリストル研究所で開発された, 新らしい経口セファロスボリン系抗生物質で, 7-Aminocephalosporanic acidの3位にトリアゾール環を導入し, さらに7位をp-Hydroxy-D-phenylglycineでアシル化したもので, Cephalexin (以下CEXと略す) に似ているが, 化学構造上全く異なるものである。抗菌力においては, CEXと同様, 広い抗菌スペクトラムをもち, その作用は殺菌的であるといわれ, 経口投与時の消化管からの吸収も良好で, 生体ではほとんど代謝されず, その大部分が未変化のまま尿中へ排泄される。今回, 私共は, CFTについて基礎的ならびに臨床的に検討した結果について報告する。
  • 紺野 昌俊, 南部 春生, 泉 幸雄, 磯野 雄也, 中沢 進, 佐藤 肇, 近岡 秀次郎, 堀 誠, 森 正樹, 西村 忠史, 小林 裕, ...
    1977 年 30 巻 10 号 p. 770-785
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefhtrizineは, 米国ブリストル社で闘発された経口Cephalo6porin剤で, 抗菌スペクトラムは従来のCephalosporin系薬剤と同様に広い1)。抗菌作用はCephalexinと比較するとき, グラム陽性菌で2~4倍, グラム陰性菌で4~8倍すぐれ, 特にStreptococcus pneumoniaeProteus mirabilisに対する抗菌力がよいといわれている2)。また, 本剤は, 経口投与によつて消化管から比較的よく吸収され3), 体内でほとんど代謝されることなく4), 主として尿中に排泄され3), 毒性も低く5, 6, 7), 催奇形性もみとめられていない8, 9, 10)。
    以上のことから, 我々はCefatrizineが上気道感染症に対して, 充分に臨床効果が期待できると考え, Cephalexinを対照薬として多施設二重盲検法によつて臨床効果とその副作用を比較検討した。なお, 対照薬剤としてCephalexinを選択した理由は, Cephalexinが同租同効薬剤として現在広く使用され, その臨床効果に対する評価が定まつていると考えたためである。
    本試験は, 共通の試験方法およびFig.1に示すCase recordを用い, 以下の要領で実施された。
  • 清水 辰典, 斎藤 永憲, 吉田 宇角, 常松 和則, 立野 史樹
    1977 年 30 巻 10 号 p. 786-792
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amoxicillinは, 抗菌スペクトラムおよび抗菌活性の面でAmpicillinときわめて類似した性状をもつており1~2), 経口投与で吸収性がよく, Ampicillinより約2倍高い血清中濃度が得られることが報告されている3~5)。
    このたび, 著者らは, 明治製業K. K. からAmoxicillin (ワイドシリン) の提供を受け, 基礎的, 臨床的検討をおこなつたので, その結果を報告する。
  • 高田 一雄
    1977 年 30 巻 10 号 p. 793-801
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefalexin持続性製剤を塩野義製薬から提供を受け, 皮膚軟部組織感染症に対する治験を得たので報告する。
    この製剤の特徴は, 抗生物質である主剤のCefalexinが胃溶顆粒として30%, 腸溶顆粒として70%含有されるカプセル (S-6436) または小児用, 橙黄色顆粒剤 (S-6437) として精製され, 1カプセル中にセファレキシンカ価として250mg, 顆粒剤では1g中200mgを含有する。
    また, 基礎文献1)によると, 血中への有効成分の移行が明解であつて, 臨床医師としては本剤を使用するに当つて有効性, 安全性の点について判断しやすく, また, 患者にとつても内服する回数が少ないという便利性があるので, 臨床で使用することに抵抗を感ずることはなかつた。
    対象疾患の選択であるが, 既存のCefalexin製剤の有効とされるものを無作意に順を追つて選び, 療, よう, 療疸, 多発性毛嚢炎, 感染性粉瘤, 伝染性膿痂疹, 膿皮症, 肛門周囲膿瘍および蜂窩織炎の合計39例である (Table 1)。
    次に, 資料を総括しで概観すると, 各症例毎に条件が平等でなくては勘案の対象にならないので, 次に記すことを守つた。
    1. 原因菌の同定を必要とするために, 各病巣から摂取した資料は必らず液体培地に時間的経過を経ずに投入した (嫌気性菌も検出される可能性があるので液体培地を使用した)。
    2. 薬剤の速効性についても勘考の対象となるので, 臨床的に毎日観察できない症例では, 診察できない日の局所または全身の状態が変化したことを次の来診時に報告できるように指示した。
  • 和志田 裕人, 上田 公介, 渡辺 秀輝
    1977 年 30 巻 10 号 p. 802-805
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    内服できる合成セファロスポリン系抗生物質セファレキシンが臨床に用いられ始めてから約7年が経過し, その有用性については, ここに列挙するいとまがないほど広く知られている。その利点として, セファレキシンは広範囲抗生物質で, 速やかに吸収され, また尿中に高濃度に排泄きれ, Dose-responseを示すことにある。しかし反面, 利点が欠点となることもあつて, 排泄が早いため頻回の服用が必要となる繁雑さもある。特に, 入院患者は別として, 外来患者では薬剤の服用についてかなり管理が困難な症例もすくなくなく, 投与回数が多いと指示どおり服用しない症例に遭遇することが少なからずある。
    今回, 塩野義製薬株式会社から提供を受けたS-6436は, 抗菌力は従来のものとかわらないが, セファレキシンの胃溶顆粒と腸溶顆粒を3: 7に混合した製剤で, 血中濃度持続時間が長い利点をもつものである1)。
    今回, S-6436を外来患者で急性腎盂腎炎に対して使用する経験を得たので, その成績を報告する。
  • 古澤 太郎, 田中 重喜
    1977 年 30 巻 10 号 p. 806-818
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    日常広く臨床的に用いられているCephalosporin製剤の経口剤Cephalexin (CEX) については, ここに改めて多言を要するまでもなく, 感染症治療剤として今日最も多用され, かっすぐれた抗生剤の1つである。
    このように広範囲に用いられるということは, 副作用が少なく, かつ広いスペクトラムをもつ薬剤であるばかりか, 経口剤でもある点から外来的投薬も可能であるということなどによるものであるが, 強いて欠点というならば, 血中濃度維持時間が比較的短く, しかも吸収の面からは食事条件にきわめて左右されやすく, 空腹時には, 食後内服にくらべ1~2時間早く血中濃度ピークが始まつたりする。どちらにしても, 8時間前後には血中からは消失するということから, 一般には原則的に1日4回分服という服用方式をとらざるを得なかつた。幸い, 尿路のほうでは, 尿中排泄状況が血中とはやや異なるので, 1日3分服 (8時間毎) という方式でも十分治療効果は期待できる。この度, 従来のCEX胃溶顆粒のほかに, PH 6.0以上ではじめて溶出する腸溶顆粒も開発されて, この両者を胃溶顆粒3: 腸溶顆粒7の割合で混合し, 食後経口投与することによつて著るしく吸収排泄時間を延長させることができ, 結果的には有効血中濃度も従来のCEX剤にくらべ, ほぼ2倍の時間を維持することが可能になつた。また, 尿中濃度や排泄率についても, 血中濃度のばあいと同様で, 本混合型のCEXでは従来のものよりは最高ピークがやや低くなるものの, 4時間位おくれて出現し, しかもカーブはより幅を増して, 従来のCEX単独のばあいにくらべ, 同量でも著るしく排泄時間を廷長し, ほぼ12時間近くまでは有効尿中排泄率をみとめ, 十分に有効尿中濃度を延長維持できることがわかつた。
    今回,このようなCEX混合顆粒を1カプセル中にCEXとして250mg相当を含む製剤S-6436の提供をシオノギ製薬からうけ, 各種尿性器感染症について臨床試用をしてみる機会があつたので, それらの成績について述べる。
  • 中川 清秀, 福山 拓夫, 大石 賢二, 神波 照夫
    1977 年 30 巻 10 号 p. 819-824
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (CEX) は, すでに強力な抗生物質として広く感染症に使用されている。CEXは, 経口投与では吸収力が良好で, 血中濃度は速やかに上昇する。しかしながら排泄が早く, 投与後1~3時間でその血中濃度はピークに達するが, 8時間後にはほとんど血中から消失する。したがつて, 薬効を維持するためには, 1日4回投与が必要であつた。
    S-6436は,従来のCEXに製剤学的工夫を加え, 血中濃度の持続時間を延長するように改良され, 主成分はCEXのままで, 1日2回の投与で12時間の有効性が期待される薬剤である。われわれは今回, 塩野義製薬株式会社から本剤の提供を受け, 尿路感染症例に使用して臨床的に検討し, 知見を得たので, その結果を報告する。
  • 山本 浩, 種田 征四郎, 大槻 昭夫, 細見 哲夫, 久保 淑子, 武部 力, 沢田 洋子, 天崎 寿夫
    1977 年 30 巻 10 号 p. 825-828
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalexin (CEX) は, 産婦人科領域においても繁用されている経口用Cephalosporin C 系抗生物質であるが, 吸収排泄が速かなことから, 血中濃度維持のためには1日4回6時間毎投与が要求される。
    このS-6436は成分としては, CEX そのものであるが, 従来のCEXが成人用にはカプセル中に粉末が入れられていたのを, 胃溶顆粒3割, 腸溶顆粒7割の割合でCEX 250mgをカプセルに入れた剤形である。
    S-6436 500mg 1回投与後12時間の血中濃度と尿中排泄量は, CEX 250mg 6時間毎2回投与に匹敵することが, 上田ら1), 真下ら2) によつて報告されている。
    今回S-6436の提供を受け, 臨床的に試用する機会を得たのでここに報告する。
  • 浦田 英男, 米田 勝紀, 栃木 宏水, 森下 文夫, 堀内 英輔, 浜野 耕一郎, 鈴木 紀元, 波部 英夫, 加藤 広海, 朴木 繁博, ...
    1977 年 30 巻 10 号 p. 829-834
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    尿路感染症は, 泌尿器科領域において頻度の高い疾患の1つである。黒田1)らは24.1%, 石神2) らは24.0%, 袴田3)らは30%と報告しており, 当敵室過去10年間 (1967~1976) の統計でも, 表1に示すように, 28.3%を占めている。
    今回われわれは, シオノギ製薬からS-6436の提供を受け, 急性膀胱炎を主とする尿路感染症に投与する機会を得た。この薬剤は, すでに発売されている同社の商品, Keflexと同成分であるが, 後述のように, 製剤的に特長があり, 投与方法も1日2回となっている。以下, その効果を検討したので報告する。
  • 斎藤 敏明, 山田 良成
    1977 年 30 巻 10 号 p. 835-839
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    T-1220は, 富山化学工業 (株) において開発されたβ-ラクタム系抗生剤で, グラム陽性・陰性の各種細菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムをもち, 特にKlebsiella, Proteus, Pseudomonas, Serratiaなどに優れた抗菌力を示す1)。また, 本剤は腎および肝に高い移行性を示し, 次いで血清, 心, 肺, 脾, 筋肉の順に移行する。血清蛋白との結合率は22%と低く, 体内ではほとんど代謝を受けず, 主として尿中へ排泄されるが, 胆汁中への排泄も比較的良好であるといわれている1)。
    われわれも今回, 本剤を使用する機会を得たので, 胆汁中濃度の測定をおこない, さらに, 胆道感染症に対する臨床治験を試みたので報告する。
  • 第1報尿分離株を中心とした各種薬剤感受性について
    猪狩 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子, 村瀬 光春
    1977 年 30 巻 10 号 p. 840-846
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    数年来, 院内感染が臨床医学分野において重要な問題としてとりあげられており, グラム陰性桿菌, 主として緑膿菌, Klebsiellaがその原因菌として最も注目されてきた1)。しかし, そのほかの細菌による感染症も増加しつつあり, Opportunistic infectionまたはNosocomial infectionとして重要視されるに至つた2,3)。
    KASSらは1967年来, Boston City Hospitalでの臨床材料からSerratiaの分離頻度が増加していることを報告した4)。最近, 順天堂大学痛院中央臨床検査室においても, 各種臨床材料から分離されるSerratiaの頻度が増加の傾向にあり, とくに尿, 喀痰からの分離件数の増加が目立つようになつてきた。
    Serratiaは, ヒトの感染症の原因菌にはなり得ないと考えられていたが, 近頃は慢性消耗性疾患に合併または続発する感染症の原因菌として注目され5~8), また, Serratiaは多くの薬剤に対し耐性を示し, 常用薬剤による治療にしばしば抵抗を示すなどの問題点が指摘されている。
    私共は臨床材料から分離されたSerratiaについて, 尿路分離株を中心に, 各種抗生物質に対する感受性検査をおこなつた。
  • 第2報尿分離例の臨床的検討
    猪狩 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子, 村瀬 光春
    1977 年 30 巻 10 号 p. 847-851
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Serratiaによる尿路感染症は, LANCASTER (1962) 1), ALLENら (1969) 2) によつて報告されており, SerratiaのNosocomial infectionとしての重要性が強調されている。
    Serratiaは, 尿路系ばかりでなく, 呼吸器系8), 中枢神経系4), 皮膚および骨組織5)の感染症および敗血症6,7)の原因菌となり, さらに腹膜灌流施行例の合併症としての感染症をおこしたとの報告がある。これらは, いずれも宿主 (患者) 側の細菌感染に対する抵抗性が減弱した状態で発症し, また広域抗生剤の多量, 長期投与例や留置カテーテル, 気管内チューブ挿入例に高頻度にみられ, Opportunistic infectionの性格が強い6-13)。
    私共は, 前報でS. marcescensの臨床材料分離株に対する各種抗生剤の最小発育阻止濃度(MIC)の分布を, 尿から分離した株と尿以外の臨床材料分離株で比較した。本報では, S. marcescens尿路感染例について, その臨床的背景を検討した。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 藤井 尚道, 新納 憲司, 小島 碩哉, 近岡 秀次郎, 岡 秀, 平間 裕一, 成田 章
    1977 年 30 巻 10 号 p. 852-862
    発行日: 1977/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    耐性ブドウ球菌を含む各種球菌類が感性なOxacillin (MPI-PC) と大腸菌属のインフルエンザ菌等のグラム陰性桿菌類が感性のAmpicillin (AB-PC) の合剤 (MPI-PC1:AB-PC1の合剤) は, 起炎菌の決定を得ずに早急な抗生剤療法を必要とする新生児, 乳児重症感染用合成ペニシリン (PC) 合剤として購生し, 従来この種合剤は筋注用として使用され, 新生児肺炎等に100~150mg/kg/dayの連続投与をおこなったばあい, 特効のみられることは私等の治療成績1) およびその他の報告からも明らかにされている2~6)。 その後耐性ブドウ球菌塗含む球菌類とグラム陰性桿菌類による混合感染の治療剤として本合剤は小児科ばかりでなく, 各科倶域で使用され9~12), 本剤の臨床的価値が広く認識されるようになつてきた。 最近になって抗生剤筋注後の筋硬縮症の問題が小児科領域において特に重要視されるようになり, 折角の優秀な本合剤の筋注も容易でなくなってきたのが現況であり, 重症感染症に使用するさいの抗生剤の投与はもつばら静注, 特に点滴静注が主流を占めるようになつてきた。
    現在までにMPI-PC・AB-PC合剤の点滴投与に関する小児科領域における報告がほとんどみられないので, 今回私等は, この面での基礎的,臨床的な検討をおこない, 一連の成果を得ることができたので, 今日までの概況について以下報告したいと思う。
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