Cefalexin持続性製剤を塩野義製薬から提供を受け, 皮膚軟部組織感染症に対する治験を得たので報告する。
この製剤の特徴は, 抗生物質である主剤のCefalexinが胃溶顆粒として30%, 腸溶顆粒として70%含有されるカプセル (S-6436) または小児用, 橙黄色顆粒剤 (S-6437) として精製され, 1カプセル中にセファレキシンカ価として250mg, 顆粒剤では1g中200mgを含有する。
また, 基礎文献1)によると, 血中への有効成分の移行が明解であつて, 臨床医師としては本剤を使用するに当つて有効性, 安全性の点について判断しやすく, また, 患者にとつても内服する回数が少ないという便利性があるので, 臨床で使用することに抵抗を感ずることはなかつた。
対象疾患の選択であるが, 既存のCefalexin製剤の有効とされるものを無作意に順を追つて選び, 療, よう, 療疸, 多発性毛嚢炎, 感染性粉瘤, 伝染性膿痂疹, 膿皮症, 肛門周囲膿瘍および蜂窩織炎の合計39例である (Table 1)。
次に, 資料を総括しで概観すると, 各症例毎に条件が平等でなくては勘案の対象にならないので, 次に記すことを守つた。
1. 原因菌の同定を必要とするために, 各病巣から摂取した資料は必らず液体培地に時間的経過を経ずに投入した (嫌気性菌も検出される可能性があるので液体培地を使用した)。
2. 薬剤の速効性についても勘考の対象となるので, 臨床的に毎日観察できない症例では, 診察できない日の局所または全身の状態が変化したことを次の来診時に報告できるように指示した。
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