The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるAB-PC・MPI-PC合剤の静注療法に関する検討
中沢 進佐藤 肇藤井 尚道新納 憲司小島 碩哉近岡 秀次郎岡 秀平間 裕一成田 章
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1977 年 30 巻 10 号 p. 852-862

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抄録

耐性ブドウ球菌を含む各種球菌類が感性なOxacillin (MPI-PC) と大腸菌属のインフルエンザ菌等のグラム陰性桿菌類が感性のAmpicillin (AB-PC) の合剤 (MPI-PC1:AB-PC1の合剤) は, 起炎菌の決定を得ずに早急な抗生剤療法を必要とする新生児, 乳児重症感染用合成ペニシリン (PC) 合剤として購生し, 従来この種合剤は筋注用として使用され, 新生児肺炎等に100~150mg/kg/dayの連続投与をおこなったばあい, 特効のみられることは私等の治療成績1) およびその他の報告からも明らかにされている2~6)。 その後耐性ブドウ球菌塗含む球菌類とグラム陰性桿菌類による混合感染の治療剤として本合剤は小児科ばかりでなく, 各科倶域で使用され9~12), 本剤の臨床的価値が広く認識されるようになつてきた。 最近になって抗生剤筋注後の筋硬縮症の問題が小児科領域において特に重要視されるようになり, 折角の優秀な本合剤の筋注も容易でなくなってきたのが現況であり, 重症感染症に使用するさいの抗生剤の投与はもつばら静注, 特に点滴静注が主流を占めるようになつてきた。
現在までにMPI-PC・AB-PC合剤の点滴投与に関する小児科領域における報告がほとんどみられないので, 今回私等は, この面での基礎的,臨床的な検討をおこない, 一連の成果を得ることができたので, 今日までの概況について以下報告したいと思う。

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