1977 年 30 巻 2 号 p. 197-202
上気道感染症における分離菌は, 解剖学位置的条件から口腔鼻咽頭の常在菌叢に比較的耐性ブドウ球菌, 溶血性レンサ球菌, 肺炎球菌などのグラム陽性球菌の分離頻度がきわめて高く, クレブシェラ, 緑膿菌, 嫌気性菌, マイコプラズマやウィルスなども, とうぜん単独または混在しているばあいが多い。
抗グラム陽性球菌性抗生物質には, 主としてβ-Lactam系のPenicillinやCephalosporin系抗生物質やTetracycline, Aminoglyooside系抗生物質も広範囲に使用されてきていた。従来, Macrolide系抗生物質は, グラム陽性球菌性の上気道感染に対して, 抗菌力, 吸収排泄などがすぐれており, 臨床応用上その有用性が高く評価されてきている。
新抗生物質Midecamycinは, 明治製菓中央研究所で尾道市の土壌から分離した放線菌の1新株Streptomycesmycarofaciensによつて産生されたMacrolide系の抗生物質として開発された。