The Japanese Journal of Antibiotics
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30 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 小栗 豊子, 小酒井 望
    1977 年 30 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 臨床材料からの肺炎球菌の検出率は低下したといわれているが, 本菌種の呼吸器感染症, 髄膜炎をはじめ, 中耳炎, 副鼻腔炎, 結膜炎, 涙のう炎などの起炎菌としての重要度は不変である1, 2) 。肺炎球菌は現在, ペニシリン剤およびセファロスポリン剤耐性株はほとんどないといわれているが8), 本菌種の多数株についての薬剤感受性の報告は, 依然として少ない。菌株の長期保存が困離なことも, この原因の1つといえよう。そこで私共は, 肺炎球菌の最近分離株112株について各種抗生物質感受性を測定し, 一部の薬剤については, 以前に報告した成績と比較して薬剤感受性の推移を検討した。
  • 泉川 欣一, 岩崎 博圓, 大田 迪祐, 池辺 璋, 原 耕平
    1977 年 30 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    従来, 原発性具型肺炎と称されていたものの中で約10~40%がMycolplasma pneumoniae (以下M.pneu.と略) によつて惹起される肺炎であることが判明し, その疫学, 臨床像, 診断法, 治療法などについでの多くの報告がなされてきている1~4) 。M.pneu.肺炎は臨床的には一般に軽微な経過をとるものとされているが, しかし, 私達の経験では, M.pneu.肺炎も初期から高熱, 全身倦怠, 喀痰, ラ音などかなりの症状や所見を伴なつてくるものもあり, また, 頑固な咳嗽が長期間にわたつてみとめられる症例もあつて, やはり早期に確実な治療を施さなければ, 慢性化して持続排菌を続けたり, 2次性の細菌性肺炎の重複感染を惹起するものもあることが推測された5) 。
    このようなことから, M.pneu.肺炎に対する治療には, M.pneu.に対して殺菌または静菌的に働く抗生剤の投与を初期からおこなうのがよいと考えられた。現在, M.pneu.の抗生物質に対する感受性は, 一般にin vitroでは, Macrolide系, Tetracycline (TC) 系, Chloramphenicol (CP) などの抗生物質に対して高いことが報告されてきた6 10) 。私達も, TC, Erythromycin (EM), CPなどの薬剤を使つての臨床的および実験的成績を報告してきたが11, 12), 今回は12例の, M.pneu.肺炎に, Long-activeなTC誘導体であるDoxycycline (Vibramycin, 以下DOTCと略す。台糖ファイザー提供) を使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫
    1977 年 30 巻 2 号 p. 145-147
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は, すでに1974年, 外科的疾患に対してDoxycycline (以下DOTCと略す) 静注液を95例に用い, きわめて良好な成績をみとめ1, 2), 単純直接静注の可能なことから外来往診等に手軽に使用できる有用性を発表した。また, 1975年, 静注液を用いて, 手術にさいして摘出した臓器組織内濃度を測定し, 執刃直前の100mgのDOTC静注によつて, 各種臓器にほぼ充分な量の移行をみとめ, さらに炎症程度の高いもの程多量のDOTC移行をみとめたことを発表した3, 4) 。
    今回我々は, 静注用塩酸ドキシサイクリン (Vial剤) を入手して, これを少数の症例に使用し, その効果をみとめたので, ここに報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫
    1977 年 30 巻 2 号 p. 148-155
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Lincomycinの誘導体であるClindamycin (CLDM) について, 臨床検査としての体液中濃度測定法, ディスクによる感受性測定法について検討し, 臨床的治療効果についてもすでに報告1) したが, このたびC提LDMの注射用製剤Clindamycin-2-phosphateについて検討する機会を得たので, 体液中濃度測定成績および臨床的治療効果を報告する
  • 大久保 滉, 岡本 緩子, 呉 京修, 右馬 文彦, 上田 良弘
    1977 年 30 巻 2 号 p. 156-160
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Streptomyces lincolnensis var.lincolnensisの培養から単離された抗生物質Lincomycinの誘導体であるClindamycin (7-Chloro-lincomycin)(CLDM) は, すでにマクロライド系と類似の抗生剤として広く一般に使用され, われわれもその基礎的, 臨床的に実験をおこない, 発表8) したが, 今回Clindamycin-2-phosphateとして注射可能の製剤 (CLDM-P) がつくられ, これを臨床的に用いる機会を縄たので, そり結果について報告する。投与方法は, 1回300mgを1日3回, 筋肉内に, および点滴静注し, 投与期間は6日ないし8日である
  • 副島 林造, 直江 弘昭, 松島 敏春, 田野 吉彦, 小林 武彦
    1977 年 30 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-phosphateは, Clindamycin (以下CLDMと略す) と燐酸の水溶性エステルであり, 試験管内では抗菌活性を示さないが, 生体内で速かに加水分解されて, 抗菌活性のあるCLDMになるとされており, 副作用も比較的少なく, グラム陽性球菌やグラム陰性の嫌気性菌感染症に有効であると報告されている1~4) 。
    今回このCLDM-phosphateを使用する機会を得たので, この薬剤の筋注および点滴静注時の血清中濃度, 尿中濃度の測定をおこない, さらに主として呼吸器感染症患者に使用して, 臨床効果および副作用について検討したので報告する。
  • 石井 哲也, 岸 明宏, 横山 隆, 岸 大三郎, 古本 福市
    1977 年 30 巻 2 号 p. 166-168
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin (7-chlorolincomycin) は, Streptomyces lincolnensisの産生するLincomycin (LCM) から誘導される抗生剤として広く知られているが1~8), 今回我々な, このClindamycinのさらに新らしい誘導体の1つであるClindamycin-2-phosphate (注射用クリンダマイシン) を入手し, 臨床菌検討をおこなう機会を得たので報告する。
    なお, 本剤を投与する症例を選ぶに当つては, 現在治験の段階であるので9今回は9慢性消耗性疾患, 消化器疾患等の基礎疾患をもつもの, および高令者, 幼若小児を避けたことを付記する。
  • 大滝 倫子, 香川 三郎
    1977 年 30 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Clindamycin-2-phosphate (7 (S)-chloro-7-deoxylincomycin-2-phosphate) は, 下記の構造式で示される薬剤である。
    本剤は, Lincomycin (LCM) の誘導体Clindamycinを燐酸化し, 注射用抗生物質として開発されたものである。これ自体に抗菌作用はないが, 血中で加水分解されて, Clindamycinとなり抗菌作用を示す1) 。
    Clindamycinは, 他剤とくらべ, 比較的広い抗菌スペクトルと強い, 抗菌作用をもつとされている。LCMと比較すると, その抗菌スペクトルは同じであるが, グラム陽性菌や耐性ブドウ球菌に対する抗菌価は4~8倍2) と高い値を示しており, また嫌気性菌にもLCMの2~4倍の強い抗菌価を持つとする報告もある3, 4) 。
    今回, 我々は, 皮膚感染症にClindamycin-2-phosphateを用い, その臨床効果を検討したので報告する
  • 松田 静治, 丹野 幹彦, 柏倉 高, 松本 治朗
    1977 年 30 巻 2 号 p. 174-177
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    さきにグラム陽性菌に有効な抗生剤としてアメリカのUpjohn社で開発されたClindamycin (7-Chlorolincomycin, CLDM) が登場して以来約10年が経過した。この間, 本剤の経口剤が本邦で繁用されているが, われわれは今回, 注射用ClindamycinであるClindamycin-2-phospate (化学名7 (S)-Chlioro-7-deoxylincomycin-2-phosphate) を産婦人科領域で臨床応用を試みる機会を得たので, 少数例ながら以下その成績を報告する。
    Clindamycin-2-phosphateは, 下記の構造式をもち, 急性毒性, 亜急性および慢性毒性, 催奇形並びに一般薬理作用の面で, それぞれ問題はないとされ, 吸収は良好で, 筋注, 静注後速やかな血中濃度の上昇を来たし, 局所の忍容性も一般的に良好といわれる。
  • 富岡 一, 小林 芳夫
    1977 年 30 巻 2 号 p. 178-181
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    経口用合成Penicillin剤であるPivmecillinamは, 内服後, 腸管内のEsteraseによつて加水分解され, Mecininamとなり, 抗菌力を発揮する新合成Penicillin剤である1) 。今回, Meciliinamの抗菌力をin vitroにおいて検討したので報告する
  • 続報とくにAminosidineについて
    金沢 裕
    1977 年 30 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    条虫は, かつては比較的駆除し難い人体寄生虫の1つで, 綿馬エキス, またはその有効成分のフィルマロン, ザクロ根皮などが用いられたが, その効果は不確実なばあいもすくなくなく, 副作用もかなりの頻度にみられるといわれている。
    その後, アテブリン (Quinacrine hydrochloride) が本症にきわめて有効なことが知られ, 広く用いられるようになり, われわれも本剤同様の抗マラリア剤であるCamoquinによる治験をも経験した。アテブリン系薬剤は, かなり有効な薬剤であるが, 年少者に用いたばあいに, やや副作用が多いといわれている。また, 吸虫の治療剤として使用されているビチオノール系薬剤も, 本症に有効で, とくにその誘導体であるニクロスアミド (Niclosamide: Yomesan) は, 駆虫率がきわめて高いという。しかし, 本剤による駆虫のさいは, 虫体が変性されて排出されるので, 完全駆虫の早期判定には困難を感ずることもあり, また副作用の点からも, なお問題が残されているという。
    1959~1960, エチオピアのWAGNER1) 等は, アメーバ症治療にパロモマイシンを用いると, 同時に寄生していた条虫が排出されることを経験した。, ついで, イタリヤのULIVELLLI2)(1963) は, 本剤による条虫駆除の有効性について記載し, 本治療法の有効性についての報告3) がつぎつぎとみられるようになり, 1967のParke Davis4) 社の集計では, 388例中339例, 87%,駆虫に成功し, またその効果は1回服用と5日間服用で差がみられなかったという。また, そのさいの副作用は, 軽微なものが一過性にみられただけであるという。
    著者5) は, さきにParomomycin (Humatin“Parke Davis”) による条虫駆除の1例を経験し, その作用機序として, 本剤は人腸管から吸収され難い一方, 条虫体によく吸収され, なにか抗神経様作用を呈するのが本剤の作用点であろうとした。ついで, 大鶴ら6) は, 18例の広節裂頭条虫症について全例に駆虫が成功したと報告した。これらの報告に使用されているParomomycin製剤は, すべてHumatin (Park Davis) に限られていた。
    一方, 同一Aminoglycoside系抗生剤Paromnomycin群には, 現在わが国でも入手しやすい製剤としてAminosidine7)(協和醗酵工業 (株)) がある。本剤は, 1959, イタリアFalmitalia Laboratoryで, Humatin産生菌とは異なるStreptomyces crestomyceticus培養液から抽出されたAminoglycoside剤で, Paromomycin群に含まれるといわれているが, 生物活性を含めて, Humatinに完全に一致するかは多少問題が残されているようである。本剤は, 抗緑膿菌, 抗変形菌を含めて広い抗菌スペクトラムをもち, 臨床的には, おもに内服2一部筋注で投与されている。本剤のマウスに対する急性毒性LD50は, 静注で106mg/kg, 皮下1,062mg/kg, 慢性毒性としては, 大量を長期に使用したばあいには, 他のAminoglycoside剤と同様, 腎および聴器, 前庭機能を主とする神経毒性が発現するという。
    われわれは, 最近, 広節裂頭条虫症の1例に, Aminosidineを使用し, 容易に完全駆虫の目的を達することができたので報告し, 前回同様, その作用機序についても観察したので報告する。
  • 秋吉 正豊, 矢野 三郎, 田島 たよ子, 松崎 明紀, 阿久津 貞夫, 岸本 勝次, 前田 昌彦
    1977 年 30 巻 2 号 p. 185-196
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (BB-K8) は, Bristol万有研究所のKAWAGUCHI et al.(1972) 1) によつて開発された新しいKanamycin (KM) の誘導体であつて, KM耐性菌の生産する不活化酵素が作用するKMの特定のアミノ基をアシル化してあるために, KM耐性菌に対して抗菌作用を現わすといわれている。
    BB-K8の聴器毒性については, すでにREIFFENSTEIN et al.(1973) 2) によるネコでの毒性実験があるが, わが国においても, 秋吉ら8) によるモルモットでの実験や, 中井ら4) によるマウスでの電子顕微鏡的研究, および三辺ら5) による臨床例についての耳科学的検査などが報告されている。これらの実験および研究によれば, Amikacinの聴器毒性峠比較的弱いと評価されている。
    今回われわれは, 妊娠中にAmikacinを投与したばあいの胎仔の聴器の発育におよぼす影響を妊娠モルモットについて, 周波数別耳介皮射試験および内耳の病理組織学的検査によつて明らかにしたので, これらの結果を報告したい。
  • 岩沢 武彦
    1977 年 30 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    上気道感染症における分離菌は, 解剖学位置的条件から口腔鼻咽頭の常在菌叢に比較的耐性ブドウ球菌, 溶血性レンサ球菌, 肺炎球菌などのグラム陽性球菌の分離頻度がきわめて高く, クレブシェラ, 緑膿菌, 嫌気性菌, マイコプラズマやウィルスなども, とうぜん単独または混在しているばあいが多い。
    抗グラム陽性球菌性抗生物質には, 主としてβ-Lactam系のPenicillinやCephalosporin系抗生物質やTetracycline, Aminoglyooside系抗生物質も広範囲に使用されてきていた。従来, Macrolide系抗生物質は, グラム陽性球菌性の上気道感染に対して, 抗菌力, 吸収排泄などがすぐれており, 臨床応用上その有用性が高く評価されてきている。
    新抗生物質Midecamycinは, 明治製菓中央研究所で尾道市の土壌から分離した放線菌の1新株Streptomycesmycarofaciensによつて産生されたMacrolide系の抗生物質として開発された。
  • MASA HAMADA, YOSHIKO HOMMA, TSUYOSHI TAMAMURA, SHINICHI KONDO
    1977 年 30 巻 2 号 p. 203-205
    発行日: 1977/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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