The Japanese Journal of Antibiotics
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緑膿菌感染症に対する抗生剤療法のin vitroにおける検討
小林 芳夫富岡 一長谷川 弥人
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1977 年 30 巻 3 号 p. 209-214

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抄録

グラム陰性桿菌 (GNR) 感染症の増加が指摘されているなかで, 難治性のPseudomonas aeruginosa感染症には, とりわけ多くの識者から深い関心がよせられてきた。そして最近ではGentamicin (GM), Tobramycin (TOB) などのP.aeruginosaに抗菌力のあるAminoglycoside系抗生剤, または抗P.aeruginosa性の広域性Penicillin系であるCarbenicillin (CBPC), Sulbenicillin (SBPC) といつた抗生剤の登場によつて, 従来は全く治療が期待できなかつたP.aeruginosa敗血症においてさえ, 十分な治療成果がえられるまでになった。しかし, われわれの経験によれば, P.aeruginosa敗血症において, これらの抗生剤の単独投与には多くの期待をよせることはできなかつた1) 。GMの1日160mg投与中にも, P.aeruginosa敗血症の発症が, 重症血液疾患を基礎疾患にもつ症例群で数例経験されている。このような抗生剤での治療成果は, すでに報告2) してきたように, 全例がGMまたはTOBと, CBPCまたはSBPCとの併用療法のばあいだけにかぎられていた。
今回は, このような臨床成績を臨床薬理学的に解析する目的から, CBPCを軸にAminoglycoside系抗生剤との併用効果をin vitroで検討し, ここにその根拠の一端を求めようとした。

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