The Japanese Journal of Antibiotics
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気管支嚇息患者に対するマクロライド系抗生物質の臨床効果
とくにOleandomycinの非抗菌的作用について
水谷 明鶴見 介登小林 瑞穂岩倉 盈水谷 宣美上松 治義金児 恵子可部 順三郎
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1977 年 30 巻 4 号 p. 285-294

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抄録

従来, マクロライド系抗生物質は気管支喘息の気道感染除去に役立つばかりでなく, 喘息症状そのものの緩解に有利に働くことが知られている。KAPLANとGOLDIN1) はTriacetyloleandomycin (以下TAOと略) が喘息患者の喀疾の分泌量を減少させ, 副腎皮質ステロイド剤の投与量を減少できることに注目した。その後, ITKINとMENZEL2) は, TAOが慢性型の気管支喘息患者の気道分泌を抑制し, 喀疾を著明に減少させて咳嗽発作や喘鳴を改善して喘息症状の緩解をもたらすことを報告している。TAOは, 1日量750~1,000mgを投与して2週間継続し, 投与中にリンパ球や好酸球の減少と好中球の増加から細菌感染が抑制されるうえに, ステロイド代謝に影響することが想像されている。GONCHAROVAとBOBKOVA3) は, マクロライド系抗生物質に, 副腎皮質刺激作用があると述べている。TAOが慢性型の喘息に有効な理由は, 抗生物質としての抗菌作用とは別に, 副腎皮質ステロイド代謝に関係があると思われる。
そこで今回, 本系の薬剤であるOleandomycin (TAOおよび燐酸塩) を用いて, マクロライド系抗生物質の気管支喘息患者におよぼす効果を臨床的に検討することを試みた。

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